NHKスペシャル|闘うリハビリII 寄せられた声をたずねて

 NHKスペシャル|闘うリハビリII 寄せられた声をたずねてを見た。

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 リハビリテーションを続ける願いがかなわずに特養入所を続ける元建築士の男性。いったん獲得した歩行機能が転倒後に低下した工場経営者の男性。片麻痺になった後プロカメラマンとしての自分は死んだと年賀状に書いた男性。そして、前回放映されたNHKスペシャルでキャスターをつとめたる藤田太寅氏(元NHK解説委員)。
 今回は、慢性期脳卒中に対するリハビリテーションの重要性が、実例をとおしてつづられた。藤田太寅氏の涙に、同じ病気と闘う者たちへの同志愛を感じた。


 度重なるリハビリテーションに関係する診療報酬改定のため、不本意にもリハビリテーションを打ち切られた方からの便りが多数紹介された。疾患別リハビリテーション料算定日数上限問題に対する署名運動や、回復期リハビリテーション病棟に対する質の評価導入(在宅復帰率6割の壁)の問題も示された。


 慢性期リハビリテーションに積極的に取組む医療機関自体が少ないことも問題である。霞ヶ関南病院*1の斉藤正身先生のところで行っている短期集中入院は興味深い。脳卒中慢性期でも回復の可能性があることを実証してみせた。桜新町クリニックの長谷川幹先生*2は、在宅生活の中で本人の生き甲斐を見つけていく援助を実践していた。
 私自身、入院中にリハビリテーション医として担当した患者が、自宅退院後に機能低下していることが多いことに気づき、愕然としたことがある。その後、必要な患者・利用者に対し、継続的なリハビリテーションを行うために様々な工夫を続けている。しかし、東北地方の状況をみても、全国の現状を聞いても、慢性期リハビリテーションサービス量は圧倒的に少なく、ニーズに応えきれていない。


 事実を淡々と積み重ねた抑制気味の映像を通じて、リハビリテーション医療が抱える問題点が浮き彫りにされた。NHKには、今後もリハビリテーション問題に関し、良質の番組を作り続けて欲しい。