財界人への逆風
御手洗冨士夫経団連会長(キャノン会長)と宮内義彦元総合規制改革会議議長(オリックス会長)の評判が置に堕ちている。
春闘が本格化するのを前に、御手洗冨士夫・経団連会長(キヤノン会長)に対する「逆風」が強まっている。最近も複数の週刊誌が、御手洗会長を批判する記事を相次いで掲載しているほか、過去には、偽装請負の問題をめぐり、キヤノンへの批判的な記事も多かった。一時期は、リーダーシップの欠如から「早期降板説」までささやかれた御手洗会長だが、今でも、専門家からは「御手洗氏は米国生活が長いこともあり、日本のビジネス流儀を知らない。元々、経団連の会長の器ではなかった」と、冷ややかな声が聞こえてくる。
経団連御手洗会長 「逆風」が吹き荒れる理由 : J-CASTニュース
「政府の審議会とか委員会に深くタッチされた方は、それに関連する事業から身を引くべきだ」。鳩山総務相は30日の参院本会議で、「かんぽの宿」のオリックス不動産への売却問題に関連し、郵政民営化が論議された際、政府の総合規制改革会議(当時)の議長を務めていた宮内義彦氏(オリックス会長)を批判した。
自民党の尾辻秀久氏の代表質問への答弁。鳩山氏は「問題は李下(りか)に冠を正さず、瓜田(かでん)に履(くつ)をいれず。国民から疑われるようなことがあってはならない。政治家もまっすぐでなければならないし、財界人も疑われるような行動はしてほしくない」とも述べた。
http://www.asahi.com/politics/update/0130/TKY200901300136.html
経済界は、各種諮問会議を通じて、政策決定に影響を及ぼしてきた。製造業への派遣労働の解禁、郵政民営化などの規制緩和を通じて、自らの利益誘導をはかってきた。その結果、戦後最長の景気拡大は財界一人勝ちに終わり、貧富の格差が拡大した。
米国初金融不況に端を発した契機の急激な悪化後、風向きが変わり、財界人への批判が一気に噴出した。とりわけ、御手洗氏と宮内氏は露骨な利益確保の手法が反感を招き、批判の矢面に立たされている。
消費が冷え込んでいる時代に、企業トップが悪評にまみれている。キャノンとオリックスは、企業の社会的責任を忘れた所業のツケを払わなければならなくなっている。