地域連携パスの普及が医療レベル向上につながる

 県保険医協会から、新年号に寄稿を依頼された。ブログに記載したエントリーをもとに記載したので、ご紹介する。


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 医療をとりまく状況が劇的に変化し、医療機関が自らの生き残りをかけて模索しています。以前は、私たちの病院でも救急車をかなり受け入れていました。しかし、急性期医療に求められる水準の向上、マンパワーや設備の不足などの問題があり、数年前に救急告示を取り下げています。一方、その代わりと言っては何ですが、リハビリテーション医療の充実に努め、県内でも有数の規模を誇るようになりました。現在は、回復期リハビリテーション病棟2病棟を運営し、リハビリテーション専門職は42名となっています。
 急性期、回復期、長期療養施設・病院、そして、在宅と各医療機関が自らのポジショニングを明確化しつつあります。同時に、医療機関介護施設相互の有機的な連携構築も強まっています。キーワードは「機能分化と連携」です。地域医療計画策定の後押しもあり、当県でも大腿骨頸部骨折と脳卒中用の地域連携パスの運用が2008年度から始まりました。マスコミの関心も高まっているようで、当院にもTV局が取材に訪れ、ローカルニュースで取り上げられました。
 地域連携パス運用にあたって、年に3〜4回ほど定期的な集まりを行うことが義務づけられています。初めは交流が中心となりますが、そのうちお互いの医療内容が分かるようになります。自然と切磋琢磨するようになり、全体の医療水準が上がっていきます。また、急性期、回復期の役割分担が明確になり、お互いの経営にもプラスになります。何より患者さんにとって、治療段階に応じた最善の医療を提供することができます。
 東北地方には、まだまだリハビリテーション医療を提供できる病院が少なく、地域的にも偏在しています。脳卒中になってもすぐに退院させられ、寝たきりになっている方は少なくありません。厳しい医療情勢ですが、地域連携パスの普及を通じて、地域全体の医療レベルを少しでも向上させたいと願っています。