ワタミ、介護保険外事業拡大で増収増益

 Yahooニュース、ワタミ、サントリーと資本関係強化 弁当宅配事業を軌道により。

ワタミサントリーと資本関係強化 弁当宅配事業を軌道に
11月12日8時4分配信 フジサンケイ ビジネスアイ


 居酒屋大手のワタミは11日、サントリーとの資本関係を強化する、と発表した。ワタミ渡辺美樹社長が保有している株式約3%分をサントリーに譲渡する。譲渡金額は22億円程度とみられる。サントリーの出資比率は5.01%から8.01%に上昇し、第2位の株主となる。


 ワタミは、介護事業や弁当宅配事業の強化に乗り出しており、サントリーの飲料商品や健康食品などが提供メニューの強化につながると判断した。飲食店向けの酒類販売は飲酒運転防止の動きや節約志向の高まりで低迷し、サントリーは既存の取引先との関係を強化することで、販売量を維持する狙いがある。今年3月にアサヒビールワタミに出資し、創業時から取引関係にあるサントリーも関係強化を探っていた。渡辺社長は「新たな取り組みである弁当宅配事業を軌道に乗せるためにも相乗効果が期待できるサントリーともう一段の関係強化が必要」と語った。


 一方、同日発表した2008年9月中間期連結決算は経常利益が前年同期比55.9%増の25億円と大幅な増益となった。利益率の高い介護事業で入居率が好調に推移した。2009年3月期業績見通しを5月の前回予想から上方修正した。7月に傘下に収めた弁当宅配事業大手のタクショクの買収効果で売上高は前期比7.2%増の1117億円、経常利益は同22.1%増の63億円とした。


最終更新:11月12日8時4分


 配食サービスは今後急成長が見込まれる分野である。*1その対象は、独居高齢者だけではない。今後、都市部の高齢化が進行し、住まいの問題が深刻になる。介護施設に入所できるのは重度要介護者だけとなる。家事や外出が困難な程度の虚弱高齢者に対する有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅の需要が増える。比較的裕福な高齢者を対象とした居住施設では、いかに美味しい食事を提供できるかがが売り物の一つになる。


 ワタミは介護事業を旺盛に展開している。その戦略は、コムスンの失敗を他山の石としている。コムスン介護保険内での事業展開を中心としたが、介護保険費用削減のあおりを受け、業績確保のため不正に手を染めた。一方、ワタミは公的保険制度に左右されない分野、有料老人ホームや弁当宅配事業を中心に展開することによって増収増益を達成している。ブランド価値を高め、費用負担を苦にしない優良な顧客を今のうちから囲い込もうとしている。介護事業で成長著しいワタミと連携する価値を、サントリーは認めている。


 一方、介護保険の保険料支払いが滞り、利用料の1割費用負担もままならない低所得の高齢者は、介護保険外サービス利用など高嶺の花である。1日1回の宅配弁当を3回に分けて食べているお年寄りもいる。低栄養状態と疾病の悪循環が懸念される。公的介護保険制度外のサービスが主流となった場合、高齢者の二極分化がいっそう深刻になるのではないかということが危惧される。