9月は障害者雇用支援月間

 毎日新聞大分キヤノン:知的障害者30人雇用へ 10月に子会社設立 /大分 より。

大分キヤノン知的障害者30人雇用へ 10月に子会社設立 /大分


 大分キヤノン国東市、飯塚守社長)は10月、知的障害者30人の雇用をにらみ、合弁の子会社「キヤノンウィンド」を設立する。障害者雇用の受け皿会社は県内初。県内の障害者雇用率2・16%(昨年6月)は全国2位だが、知的障害者に限れば0・31%と26位。こうした不均衡是正の切り札として期待される。


 合弁相手は大分市社会福祉法人「暁雲(ぎょううん)福祉会」。同会でパン製造販売に当たるメンバーが同社に出入りしており、その働きぶりを見たキヤノン側が製造部門の仕事を任せられないか検討。昨年8月からカメラの記録媒体など付属品の袋詰め作業を試験的に任せたところ、専門の健常者の60%程度の作業スピードが達成されるなどスムーズだったため、正式に働いてもらうことにした。


 実際の就業は11月から。当面、障害者5人を雇用し、来年度は10人、11年には30人の雇用を想定している。キヤノングループとしても初の知的障害者採用で、法定障害者雇用率1・8%をわずかに上回る現状の1・81%も、改善されるとみられる。


 暁雲福祉会は「重度知的障害者に向く仕事で、戦力として評価頂いたのがうれしい。障害者5人に健常者1人のスタッフがつくのもありがたい」と言う。飯塚社長は「障害者の自立支援と社会参加を積極支援できればいい。作業内容の拡大も検討したい」と話している。【梅山崇】


毎日新聞 2008年9月11日 地方版


 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者雇用事例リファレンスサービス内に、社会福祉法人暁雲福祉会 福祉工場ウィンドの活動が紹介されている。パン工場に関する部分を引用する。

(2)福祉工場設立の経緯・背景


 暁雲福祉会で運営している八風園という障害者福祉施設に、近年、養護学校を卒業後に一般企業に就職した若者が、1〜3年ぐらいの間に離職して訪れて来る傾向が多く見られようになった。併設する小規模作業所マーヤの園で受け入れて様子を観察すると、すべてに自信をなくしていたり乱暴な言葉づかいになっていたり、さらに精神科を受診していたりとさまざまであった。
 何か手立てはなかろうかということで、離職した本人側の要因、就労の機会の保障、事業主の配慮の有無、職場において差別的な劣等処遇はなかったか等の問題点を調査した。そして、数多くの若年離職者が短期間に生ずることに対して、働くこと、働き続けることを『QOLの視点』から追求し、離職を未然に防ぐ対策を考える過程で、試行錯誤の末、福祉工場の開設を思い立ったということである。
 それは、障害者授産施設の八風園さかのいち分場内で平成7年からパン販売を行っている店「麦工房森のクレヨン」での経験から確信した。麦工房森のクレヨンでは、知的なハンディがあっても、その人の得意な作業工程を選択し環境設定しその上で心身両面への援助を行えば、必ず就労は可能であるという事実があったのである。実際に、福祉工場ウィンドでも、精神科受診者以外は、半年から1年ぐらいの間で学生時代のような生き生きとした彼らに戻った。
 「知的な障害があっても働きたい、社会とつながりを持ち収入を得たい等、基本的な労働要求があります。そして権利も義務も有しています。このことに丁寧に応えてあげる姿勢が事業主に求められているのではないでしょうか。」との丹羽施設長の一言は示唆に富む。


 本ブログでは、キャノンのことを偽装請負の総本山と批判してきた。しかし、今回の知的障がい者雇用に関しては、暁雲福祉会というパートナーがついており、期待できる。「キヤノンウィンド」の成功を心から願いたい。


 9月は「障害者雇用支援月間」である。