障がい者雇用率7.42%、ユニクロの取組み

 ユニクロCSR(Corporate Social Responsibility)、障がい者雇用より。

 ユニクロでは、2001年から、会社の方針として1店舗1名を目標に、障がい者雇用を積極的に推進しています。2007年6月末の障がい者雇用比率は7.43%に達しています(法定雇用率は1.8%)。この取り組みにより、店舗スタッフ同士の助け合い意識や、チームワークの向上にもつながっています。ユニクロでは全店舗で最低1人以上の障がい者の方を雇用することに取り組んでいます。


 続けて、語るVol73、重本直久より。

重本直久


PROFILE


株式会社ユニクロ
法務部
CSRチーム
リーダー


現在の会社での経歴と担当している主な活動


1998年入社。
給与社会保険のリーダーとして、障害者雇用を推進。
2006年3月にユニクロCSR部に異動。この秋から本格的に始まるユニクロ全商品リサイクルの活動を中心となって推進。
その他、個人情報管理、コードオブコンダクトの制定、中国工場の監査など、幅広いCSR業務にリーダーとして関与。


 ユニクロはかねてから障害者雇用を推進してきました。会長の方針で推し進めてきたことですが、私は実際に現場を動かすための旗振り役を務めました。ユニクロ全店で1名ずつの障害者を雇用することを目標に実践し、現在では全店の約8割で実現しています。障害を持つスタッフがいることでもたらされるプラス面は大きいんですよ。健常者が日頃意識していなかったことに気づいて、自然と相手の立場に立とうと思うようになります。例えば、耳の不自由なスタッフがいる職場では、危険がないようドアをやさしく開け閉めするようになります。職場に気遣いが生まれること自体良いことですし、障害をお持ちのお客様への対応はもちろん、接客全般にそうした意識は表れてくるものです。他者に配慮する気持ちは、相手に障害があろうとなかろうと必要なことで、相手によって配慮のポイントが異なるだけのことではないでしょうか。共に働くことで障害者を障害者として特別視するのではなく、社会を構成する多様な個性の一要素として自然と受け入れるようになれるのなら、障害者雇用の意義は深いと思います。会社が大所帯になるとやりやすくなることとやりにくくなることがありますが、ユニクロは店舗数が多いだけに、取り組みが業界全体にインパクトを与える分、これを陰で支えることができたことに達成感を覚えます。
 難しいのは、営業の人たちにしてみれば私たちは、いつも何かしらの負担をお願いする役回りであるというところでしょうか。「障害者雇用を始めます」「リサイクルを始めます」ということは、良いことだとはわかっていても、現場にとって少なくとも一時的には負担なわけです。効率化や経費の削減と日々戦っている彼らに、それでもなぜやるべきかの理解を求めてゆくのは簡単なことではありません。しかし本来、会社の中にCSRに関わりのない部署というのは存在しませんよね。どんな仕事をするにしろ必要な考え方なのですから。CSRの部署というのは、調整役あるいは社会貢献活動のような他で受け持たない仕事を担って隙間を埋める部署なのかもしれませんね。苦労が無いわけではありませんが、幸い部署内のチームワークがよく機能しており、それぞれの得意分野をうまく活かせる環境なので、仕事がしやすく助かっています。


 ユニクロ障がい者雇用について紹介した日経新聞の記事、ユニクロ、障害者積極雇用に、柳井会長の言葉がある。

 「障害者を特別扱いしないのがウチの基本。その方が障害者もやる気をもって働ける。できないところは支援するが、それは未熟な健常者を熟練社員が教えるのと同じこと。障害者、健常者を問わず従業員が仕事に達成感を持てるようにすることが業績拡大の近道だと思う」(柳井会長)


 ユニクロも、2001年までは障がい者雇用にさほど熱心ではなかった。それが、沖縄など障がい者がいる店舗でサービスが向上していることに気づき、全店での障がい者雇用奨励に方針を切り替えた。業績も拡大した。社会貢献と算盤勘定が見事に一致した。
 日本でも障がい者雇用率は少しずつ伸びてきている。しかし、法定雇用率まで達していない企業もまだまだ多い。働く者を尊重できる企業は、顧客サービスの質も高く、その結果収益も上がることを、ユニクロは示している。企業の意識変革が進み、多くの障がい者が働くことの喜びを実感できる社会になることを願う。