高負担高給付か、低負担低給付か、意見二分

 朝日新聞今後の年金制度「高負担」「低給付」二分 本社世論調査より。

今後の年金制度「高負担」「低給付」二分 本社世論調査
2008年7月26日20時24分


 朝日新聞社社会保障のあり方をテーマに郵送方式による全国世論調査を実施したところ、今後目指すべき公的年金制度の負担と給付の関係について、「負担を重くして給付を維持・向上する」(高負担高給付)が37%、「給付水準を低くして負担を抑える」(低負担低給付)が39%と意見が二分した。


 「高負担高給付」を選ぶのは男性で43%と多く、女性では32%と少ない。自分の生活水準を「中の上」以上と答えた人では半数近くがこの回答だが、生活水準が「下の上」以下の人だと2割台に落ち込み、いま以上の負担増を拒む声が強い。


 現行の年金保険料について、「割に合わない」と感じている人は53%にのぼり、「適度な負担だ」とする人は39%だった。割に合わないとする意見は働き盛りや若い世代に多く、30代で66%、40代で63%に達する。


 年金や医療などの社会保障全般について「社会全体で支え合うべき」か「個々人で何とかするべき」かを聞くと、「社会全体」とする「共助」重視派が69%を占め、「個々人」とする「自助」重視派は25%にとどまった。


 また、「社会保障制度を維持するためには、国民の負担をいまより増やさなければならない」という意見にどの程度納得できるかを尋ねると、「大いに」「ある程度」納得できる人は計44%、「あまり」「まったく」納得できない人は計53%だった。


 一方、公的医療保険(健康保険)制度の将来像については、負担を重くして受けられる医療を維持・向上する方がよいとした人が40%で、負担を抑え医療の内容を減らす方がよいとする36%より、やや多かった。


 調査は6〜7月に3千人を対象に実施。回収率は77%。


 続いて、平成20年度 年次経済財政報告書、第3章 高齢化・人口減少と財政の課題、第2節 高齢化・人口減少と社会保障財政、198〜199ページより。

●「給付維持・負担上昇」よりも「給付削減・負担維持」への支持が全体として多いが、年齢によって異なる結果


 前述のように、2007 年10 月の経済財政諮問会議では、有識者議員から、中長期的な社会保障の選択肢として、A)「給付維持・負担上昇」、B)「給付削減・負担維持」の2つのケースが示された。そこで、この二つの選択肢をもとに内閣府でアンケートを行った結果、全体としては、B)「給付削減・負担維持」に「近い」又は「どちらかと言えば近い」と答えたケースが48.3 %に達し、A)「給付維持・負担上昇」に「近い」又は「どちらかといえば近い」と答えたケースが24.0%となり、B)への支持が多くみられた(第3−2−10図)。
 A)B)の回答の割合を属性ごとに分解したところ、性別や所得階級、職業、雇用形態、学歴の別によって目立った違いがあるという結果はみられなかった。一方で、年齢については明確な差がみられ、年齢が上がるほど、A)「給付維持・負担上昇」を選択する傾向が顕著にみられる(第3−2− 11 図)。このことは、予想されるとおり、年齢が上がるほど給付の維持を必要とすることを示している。その傾向は特に年金を受け取る直前の55 〜 59 歳の層で最も強くみられ、60 歳以降で低下している。60 歳以上は年金を既に受け、年金額が確定している一方で、人口に占める割合が最も高い団塊の世代層は、年金を受け取る直前の時期にあり、制度変更による影響も比較的大きいため、給付確保をより強く求めることが、こうした結果の背景として考えられる。あわせて、A)の傾向が強い層は、高齢者のいる世帯でも明確にみられた。
 なお、前述のとおりここで示した二つの選択肢は、あくまでも極端なケースとして参考に示されたものであり、実際の政策はこの間で行われるものであることに留意が必要である。


 医療費等社会保障費増を願う立場からみると、複雑な思いにかられる。2つの調査結果とも、「低負担低給付」ないし「給付削減・負担維持」への支持が少なくない。特に、若年者、低所得者ほどその傾向が強い。
 若年層は、公的年金に全く期待していないと言われている。ワーキングプア層の拡大もあり、乏しい給与から社会保険料を差し引かれることに抵抗があることは間違いない。保険料が労使折半となっている場合、低収入でも高収入でも所得に占める割合には差がない。このことは社会保険料負担がより低所得層に重い負担になることを示す。


 以前、医療費財源(その3)-保険料負担(事業主、被保険者)減少の原因などで、社会保険料事業主負担を増やすべきだ、という主張をした。経営が厳しい中小企業にも配慮しながら、国際的にみて社会保険料の負担割合の少ない事業主負担を増大させない限り、若年層や低所得層などの社会保険料負担増大に関する不信は払拭できない。