介護認定調査、23項目が削除候補に

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介護認定調査、23項目が削除候補に


 厚生労働省は5月2日、要介護認定の調査項目(82項目)から削除する候補として「皮膚疾患」や「飲水」など23項目を決めた。これに伴い、市区町村の介護認定審査会が一次判定する際の認定ロジックも新たに開発し、来年度の実施に向け認定ソフトを完成させる。


 このほか削除候補として決まったのは、▽拘縮(肘関節、足関節)▽じょくそう▽作話▽幻視幻聴▽暴言暴行▽大声を出す▽落ち着きなし▽外出して戻れない▽一人で出たがる▽収集癖▽火の不始末▽物や衣類を壊す▽不潔行為▽異食行動▽環境等の変化▽電話の利用▽指示への反応▽感情が不安定▽同じ話をする▽日中の生活?の21項目。


 要介護認定における一次判定の仕組みについて検討している「要介護認定調査検討会」(委員長・開原成允国際医療福祉大大学院長)は、昨年度に「買い物」や「調理」など6項目を加えた88の調査項目によるモデル事業を141市町村で実施している。
 2日の同検討会では、調査員が現場で悩むことが多かった項目や、削除しても認定結果への影響が少ない項目について、厚労省と委員から削除項目案が提案され、決定した。
 調査項目が変わると、介護認定審査会で一次判定する際の認定ロジックも変更になるため、5月から6月にかけて新ロジックを開発し、夏をめどに試行認定ソフトを使った第二次モデル事業を実施する。11月には新ロジックを組み込んだ最終版認定ソフトを完成させ、来年度から実用化する。


 また、介護認定審査会は2006年度から、一次判定で「要介護1相当」と示したものについて、二次判定でさらに認知機能や心身の状態などを判定して「要介護1」と「要支援2」に振り分けている。厚労省は、心身の状態の判定について蓄積しているこれまでの判別結果のデータをロジックに組み込んで振り分けられるようにするなどの新たな認定ロジックの方向性も提案し、了承された。


更新:2008/05/02 22:48 キャリアブレイン


 介護認定審査会委員をしている。現行の介護認定判定ソフトはロジックに問題が多いと感じている。施設入所者をもとにした調査を在宅患者に当てはめたこと、本来なら順序変数として採用すべき値をカテゴリー変数としていること、など様々な理由があげられている。特に、独居者や認知症者の要介護認定が低くなる傾向を認め、二次判定時に苦労を強いられた。さらに、2006年度の介護保険見直しの際、認定ソフトの部分的手直しが実施されたが、根本的なロジックに手をつけられていなかったため、かえって矛盾が増大した。意図的かどうかは不明だが、要介護度が全体的に軽度にシフトしたという印象がある。以前は、歩行が自立していない要介護者は要介護2以上となっていたが、2006年度以降はへたをすると、要支援2となることもある。


 厚労省が介護認定という仕組みを作ったのは、要介護度ごとに区分限度支給額を設け介護サービス制限を行うためである。したがって、介護認定ソフトがいささか妥当なものに改善されたとしても、本来的に必要な介護サービス量を保証するものではない。また、介護認定判定ソフトというブラックボックスをいじることで、要介護度をいっそう低く判定しようとする取組みを厚労省幹部が行おうとしているという疑惑が拭いきれない。


 2006年度診療報酬・介護報酬同時改定、2007年度異例のリハビリテーション分野診療報酬改定、2008年度診療報酬改定に引き続き、2009年度介護報酬改定もリハビリテーション部門にとって重大なものとなると予想される。2010年度には次期診療報酬改定が待っている。社会保障費削減の嵐がリハビリテーション部門に襲いかかってきている。