介護福祉士養成大、8割で定員割れ

 介護福祉士養成大、8割で定員割れ…低賃金などで敬遠、より。

介護福祉士養成大、8割で定員割れ…低賃金などで敬遠


 介護福祉士を養成する全国の4年制・短期大学で、養成課程入学者の定員割れが相次いでいることが、読売新聞の全国調査でわかった。


 回答のあった大学の8割で今春入学者が定員割れとなり、ほぼ半数で定員充足率が50%を下回っていた。


 各大学は、介護職が「低賃金・重労働」といわれることや、コムスン問題の影響を指摘。養成課程から撤退する学校もあり、介護保険を支える人材の不足が深刻化しそうだ。


 介護福祉士は、高齢者や障害者の介護を行う国家資格で、全国で約64万人いる。介護保険の導入に伴って各大学が介護福祉士の養成課程を開設し、国の指定養成施設の大学は全国で約150校にのぼる。調査は4年制・短期大学計80校を対象とし、うち51校が回答。51校の同課程入学者は2005年春の3273人をピークに3年連続で減少し、今春は05年より30%少ない2266人。42校で定員割れが生じ、25校で定員充足率が50%以下となった。


 九州のある大学では定員40人に対し入学者はわずか4人で、近畿の短大も定員50人に入学者は7人。今春の定員充足率が7割の北海道の大学は、来年度の募集中止を検討している。


 各大学は定員割れの理由について、「社会的地位が低い」「コムスン問題で業界イメージが悪化した」とし、奨学金を受けた学生が「介護職の賃金では返還できない」という理由で一般企業に就職した大学もあった。日本福祉大(愛知県)の担当者は「高校の進路指導の選択肢から介護福祉士が除かれつつある」と嘆く。


 危機感を抱く4年制大学は年内にも、「介護福祉士養成大学連絡協議会(仮称)」を発足させるが、厚生労働省は「養成施設対策は手つかずで、今後取り組むべき問題」としている。


(2008年5月4日03時01分 読売新聞)


 続いて、CBニュース、ヘルパー1級課程、12年度に廃止へ、より。

ヘルパー1級課程、12年度に廃止へ


 厚生労働省は2012年度をめどに訪問介護員ホームヘルパー)養成1級課程を廃止する方針を固めた。2級課程は当分の間続ける考え。


 厚労省は介護職の専門資格について、国家試験に合格した介護福祉士と、一定時間の研修を修了すれば認定されるヘルパー2級では提供するサービスの質に差があるとして、将来的にヘルパー1級と2級をなくして介護福祉士に統一する方向で検討している。ヘルパーが介護福祉士資格を取得できるよう、2006年度に「介護職員基礎研修」を創設。研修修了者が介護福祉士国家試験を受験できるようにする仕組みを現在検討中だ。
 研修修了者はヘルパーの任用資格を得られるため介護現場で働くことができ、サービス提供責任者になれる。500時間の研修が必要だが、ヘルパー有資格者には研修時間の免除がある。ホームヘルパーの資格自体はすぐにはなくならないが、3級課程修了者は09年度から介護報酬の算定要件から外れるなど、厚労省は段階的に介護福祉士に統一する方針だ。


 厚労省は2月27日、自治体の介護保険担当者向けの会議で、「まずは訪問介護員1級課程について、2012年度をめどに介護職員基礎研修に一元化を図る予定」と述べ、サービス事業者や関係団体などに周知するよう求めた。2級課程については「こういうルートも必要だということもあるので、当分の間は養成を継続する」と述べた。


■基礎研修、実施自治体は半数
 厚労省はまた、介護職員基礎研修について、実施しているのは29都道府県で134事業所にとどまるなど普及が進んでいない実態を説明。都道府県には積極的に研修を周知し、研修事業所の指定を進めてほしいと要望した。


 500時間を必ず履修しなければならないと思い込んでいる有資格者もいるかもしれないとの懸念を示し、ヘルパー1級で実務経験が1年以上ある人は60時間の研修でよいなど、免除があることを周知してほしいと訴えた。


更新:2008/02/29 16:33 キャリアブレイン


 厚労省は、介護の主力をヘルパーから介護福祉士に移そうとしている。しかし、介護福祉士は人気がなく、多くの大学で定員割れを起こしている。介護福祉士の労働条件を改善し、社会的地位を向上させない限り、在宅介護も受けられなくなる時代が来る。