回復期リハビリテーション病棟算定日数超えと在宅復帰率
全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会のホームページに、20年度診療報酬改定Q&A http://www.rehabili.jp/kaiteiQA.pdf が掲載された。基本的なところを含め、紛れがないように質問が工夫されている。回復期リハビリテーション病棟運営をする上では、必須の資料となっている。
成果主義導入に関し気になった部分を引用する。
Q18 回復期病棟の対象として入院したが、算定日数上限を超えて入院継続となり回復期リハ対象外となった患者が自宅へ退院した場合、在宅復帰としてみなしてよいか?
A18 不可。
回復期リハビリテーション病棟対象外となった時点で、一般病棟ベースでは特別入院基本料(575点)、療養病棟ベースで療養病棟入院基本料E(750点)ときわめて低い点数になる。さらに、努力して自宅退院させたとしても在宅復帰率にカウントされず、むしろ数値を引き下げる結果となる。長期にリハビリテーション医療が必要な重症者が、さらに回復期リハビリテーション病棟から遠ざけられる。
実質的に、診療報酬規定は次のように変更された。赤字が内容面で追加された部分である。
回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患又は大腿骨頚部骨折等の患者に対して、ADL向上による寝たきりの防止と(期限内の)家庭復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うための病棟であり、回復期リハビリテーションを要する状態の患者が常時8割以上入院している病棟をいう。なお、リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行いリハビリテーション実施計画を作成する必要がある。
2000年に回復期リハビリテーション病棟が発足した当初、算定日数上限は180日だった。2006年改定で骨折と廃用症候群は90日まで短縮された。脳血管疾患も重度のものを除いて150日となった。今後、回復期リハビリテーション病棟のデータが蓄積されていく中で、算定日数上限はさらに短くなると予測する。患者の選別が行われ重症者が減ると、見かけ上平均在院日数は短縮する。そうすると、厚労省はデータを口実に算定日数上限を引き下げる。科学的に一見見えるが、重症者を除外した選択バイアスがかかった数値が一人歩きをし、逃れようのないアリ地獄ができあがる。