「回復期リハ入院料1かつ重症患者回復病棟加算」算定病棟は約7割

 m3com、回復期リハ連絡協が実態調査 回復期リハ病床が5万床突破 約7割の病床は質の評価基準もクリア(2008年12月8日)という記事が載った。回復期リハビリテーション病棟の現状について記載されている。数値を紹介する。

# 非会員も含めた状況(2008年11月28日時点)

  • 回復期リハビリテーション病院: 920病院、1147病棟、5万1313床。このうち、回復期リハ連絡協会員は683病院(組織率74%)。


# 会員病院の現状調査

  • 「回復期リハビリテーション病棟入院料1(1690点)」算定: 510病院(会員病院683病院の75%)、3万1790床(会員病院4万711床中78%)。
  • 「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定: 443病院(会員病院683病院の65%)、614病棟(会員病院全体900病棟中68%)*1、2万8176床(会員病院4万711床中69%)。


 現状では、「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定が68~69%、「入院料1(1690点)」のみ算定が7〜8%、そして、「入院料2(1595点)」が残りの25%となっているようだ。

  石川会長は、「現時点で懸念された現象は起きていない」と述べるとともに、「回復期リハビリテーション病床が5万床を超えて、西日本では過剰地域が出ている。その点からも患者を選別する状況ではないともいえる」との見方を示した。


 今回、回復期リハビリテーション病棟への成果主義導入後の病棟分布が初めて明らかになった。「患者の選別が起こっていない」というが、根拠は示されていない。各病院が、より高い基準をとろうとして、特別な努力をしたかどうか、聞き取り調査をしてみないと分からない。
 「入院料2」に留まっている病院が約1/4となり、回復期リハビリテーション病棟の二極分化が生じている。低い診療報酬に留まっている病院が、より高い基準を目指そうとする時にどのような事態が生じるのか。患者の選別が本格化するのはこれからである。
 また、在宅復帰やADLの回復を目指さない質の低い回復期リハ病棟が、「入院料2」に留まることを是とするようになった場合、部分的にせよ回復期リハビリテーション病棟の質は低下する。


 今回の診療報酬改定が、回復期リハビリテーション病棟の質を向上させる手段として適切だったとは、どうしても思えない。今後の検証作業が待たれる。

*1:会員病院全体900病棟のうち入院料1の算定は614病棟と記事には記載されているが、比率をみる限り、「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定病棟数と判断する。