ブログ開設1周年

 ブログを開設して、早いものでちょうど1年経った。休んだのは3日だけであり、自分でもよく続いたと感心している。どちらかというと引っ込み思案で目立つことが嫌いな性質である。ブログを書くという作業が性に合って日課になったからとしか言いようがない。


 私は、ブログを次の3つの目的で使用している。

  • ミニメディア
  • 知的生産の道具
  • 備忘録・日記


(1)ミニメディア
 そもそも、ブログを書こうと思ったのは、回復期リハビリテーション病棟への成果主義への導入に腹が据えかねたからである。
 初日のエントリー、多田富雄先生の著書を読んで(2007年12月9日)から引用する。

 しかし、事態は私の予想をはるかに越え、悪化している。成果主義が本格的に導入されると、算術が得意な回復期リハビリテーション病棟だけが残り、重症の患者もえり好みをせず受け入れている病院がつぶれかねない。
 今、自分ができることは、リハビリテーション医療が直面している危機に関して、少しでも多くの方に理解してもらうことだろう。そのために、私はこのブログを書き続けていきたい。


 今にして思うと、随分と肩に力が入った書き方をしている。振り返ってみると、この1年間飽きもせずずっと同じテーマを書き続けてきた。Googleで、「リハビリテーション(リハ、リハビリ)」×「成果主義」と検索すると、私のブログが常に上位にランクされる。
 ネットとマスメディアは敵対するものではなく、相補的関係にあると考えている。この間、ブログでの情報発信が契機となり、新聞やTVの取材を受けることが続いている。回復期リハビリテーション病棟への成果主義導入などの一般受けしないような話題を取り上げてもらって感謝をしている。m3「医療維新」の対談も企画していただいた。訴えれば誰かに必ずメッセージは届く、ということを確信した1年だった。


(2)知的生産の道具
 ブログをはじめたもう一つの理由は、梅田望夫氏の著書「ウェブ進化論」に共感したからである。その辺の事情は、ウェブ進化論の私的影響(2008年1月28日)にまとめたので、引用する。

 さらに、梅田望夫氏は、ブログこそが自分にとっての究極な「知的生産の道具」かもしれないと述べ、その効用を5つにまとめている。

(1)時系列にカジュアルに記載でき容量に事実上限界がないこと
(2)カテゴリー分類とキーワード検索ができること
(3)手ぶらで動いていても(自分のPCを持ち歩かなくとも)、インターネットへのアクセスさえあれば情報にたどりつけること
(4)他者とその内容をシェアするのが容易であること
(5)他者との間で知的生産の創造的発展が期待できること


 そして、ブログを「知的生産の道具」として使う場合の、「歩み寄り方」を次のように記載している。

(1)対象となる情報源がネット上のものである場合には、リンクを張っておくだけでなく、できるだけ出典も転記し、最も重要な部分はコピー&ペーストすることである。簡単な意見や考えもあわせて書けばさらにいい。
(2)対象となる情報源がネット上のものでない場合(デジタル化されていない本や雑誌の場合)は、出典を転記し、手間は少しはかかるが、最も重要な部分だけを筆写することである。なぜ、筆写したかもきちんと書けば、筆写部分を「引用」扱いでできる。筆写部分の分量を常識的な線に押さえれば、著作権のことを心配することはない。筆写の割合が多く、情報の公開にそれほどの意味を感じない場合は、ブログ自身を非公開で使えばいい。


 この1年間、私は梅田望夫氏が推薦した方法を実際に試してみた。確かに、ブログは「知的生産の道具」として有効である。
 気になる話題に接した時、あやふやな知識で文章を書く訳にはいかないので、いろいろと調べ物をしてから書く。時間をかけて課題と向き合い、文章にまとめる過程を経て、自分の血となり肉となる。学会や論文発表、学校の講義などと同じである。準備する過程が、最も勉強になる。
 特に、意見が対立するような微妙な問題を扱う際には、主張の根拠を明らかにするように私は努めている。マスコミ報道をそのまま引用するのではなく、一次資料にできる限り近づき、データを出して数字に語らせるという手法をとる。
 コメントやトラックバック、ブックマークで寄せられる様々な意見は、批判的見解を含め参考にしている。反論しようもないネガティブコメントに正直腹を立てることもあるが、自らの文章力不足が原因だろうと納得させ、次のエントリーを書くエネルギーとしている。


(3)備忘録・日記
 備忘録・日記としての役割も大きい。気になる出来事、講演会やコンサートの感想、旅行写真などは、今まではパソコンにデータを保管してきた。同じ情報を、「ポケットはひとつ」という原則に立ち、ブログ内に遺すようにした。下書き機能を利用し、気になる点をメモし保存することも行っている。雑誌に投稿した文章、学習会に使った資料などもいずれブログで公表しようと思い、下書き内に保存している。時間がない時には、これら保存データを使う。場合によっては、皆の関心が他に移ってしまい、誰からも注目されない周回遅れの記事になってしまうこともある。
 ついでに言うと、メールもGoogleが提供するGmailに移行した。現在は、かなりのデータがネットのあちら側にある。
 ネタは尽きないのですか、と質問されることがある。実は、パソコン内に眠っているデータが山ほどあって、それをまだほんの少ししか生かしていない。ネット上の情報の方が加工しやすいので、現在は主にそちらを使っているが、そのうち休眠資料を再利用したいと密かに企んでいる。


 最後に、2008年12月9日午後8時50分現在のデータを示して、まとめとする。


 1年間のご愛読に感謝いたします。今後ともお引き立てをお願いいたします。