後期高齢者・在宅患者における医療連携

 厚労省が作成した、後期高齢者・在宅患者における医療連携のイメージ図を示す。


 上段が、病状が安定している後期高齢者が入院する場合を示している。
 「後期高齢者診療料」を算定する時には、「後期高齢者診療計画書」を作成することが求められる。この診療計画書には、「当院の連携医療機関」名を書く欄がある。「後期高齢者外来患者緊急入院加算」(500点)とは、別の保険医療機関において「後期高齢者診療料」を算定している患者が、あらかじめ緊急時の入院先として定められた病院又は有床診療所に入院した場合に算定できる。
 「後期高齢者診療料」を算定している患者が、入院した場合、退院後再び継続して「後期高齢者診療料」を算定する保険医療機関にて診察した場合には、「後期高齢者外来継続指導料」(200点)を算定できる。


 下段は、病状不安定な在宅患者を対象としている。
 「在宅患者緊急入院加算(入院初日)」は「在宅時医学総合管理料」、「特定施設入居時等医学総合管理料」、「在宅末期医療総合診療料」、「在宅療養指導管理料」を算定している患者が、患者の急変等に伴い、当該保険医療機関の求めに応じて入院させた場合に算定できる。なお、「在宅末期医療総合診療料」を算定する場合には、在宅療養支援診療所と在宅療養支援病院は、算定可能となる患者について、総合的な在宅医療計画を策定し、これに基づいて訪問診療及び訪問看護を積極的に行うとともに他の保健医療サービス又は福祉サービスとの連携に努めること、となっている。
 「在宅患者緊急入院加算(入院初日)」は、連携医療機関である場合は1,300点、それ以外は650点となっている。「後期高齢者診療料」を算定していない患者が対象であり、「後期高齢者診療計画書」を作成する必要はない。ただし、患者に交付する診療計画にあらかじめ緊急の入院先として定められたものである必要がある。


 退院時共同指導料は、以前地域連携退院時共同指導料と言われたものの要件を変更したものである。
 退院時共同指導料1の方は、退院後の在宅療養を担う保険医療機関の方で算定する。今回の改定で、当該保険医の指示を受けた当該保険医療機関の看護師若しくは准看護師が入院している保険医療機関に赴いて療養上必要な説明及び指導を行った場合でも算定可能となった。在宅療養支援診療所の場合は1,000点、それ以外は600点である。
 退院時共同指導料2(300点)の方は、入院中の保険医療機関側で算定する。入院中の保険医療機関の保険医と在宅療養を担う保険医が共同して指導を行った場合は、300点を加算する。さらに、入院中の保険医療機関の保険医が、当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医若しくは看護師等、保険医である歯科医師若しくは歯科衛生士、保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)又は居宅介護支援事業者の介護支援専門員のうちいずれか3者以上と共同して指導を行った場合に、所定点数に2,000点が加算される。


 後期高齢者医療制度、特に「後期高齢者診療料」(600点)と密接に関係するのは、「後期高齢者外来患者緊急入院加算」(500点)、「後期高齢者外来継続指導料」(200点)である。在宅患者に関しては、魅力的な点数がついたため、より密接な連携が進むと予想する。一方、「後期高齢者診療料」に対する反発の根強さを考えると、おそらく、「後期高齢者外来患者緊急入院加算」(500点)、「後期高齢者外来継続指導料」(200点)を算定する医療機関は少ないだろうと予測する。