後期高齢者医療制度における薬剤管理と栄養・食事管理の強化

 特掲診療料にある、B011-03 後期高齢者薬剤情報提供料(手帳に記載する場合)、B014-00 後期高齢者退院時薬剤情報提供料、B015-00 後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料について、その内容を調べた。


 B011-03 後期高齢者薬剤情報提供料(手帳に記載する場合)(15点)については、次のように記載されている。これまで、老人保健法の規定による医療を提供した場合となっていたものが、後期高齢者である患者と変更されたものである。さらに、今回、次のような記載が通知に加わった。

 なお、この場合の「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウまに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。
ア 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録
イ 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録
ウ 患者の主な既往歴等疾病に関する記録
 また、所有している手帳を持参しなかった患者に対しては、手帳に添付できるよう、薬剤の名称が記載された簡潔な文書(シール等)を交付した場合でも算定できるが、その場合には、当該文書を手帳に添付するよう、患者に対して指導を行うとともに、次回、当該文書が手帳に添付されていることを確認すること。


 後期高齢者診療料時点でも感じたが、懇切丁寧な、しかし、医療関係者にとっては余計なお世話と感じるような細かな指導が通知に記載されている。


 B014-00 後期高齢者退院時薬剤情報提供料(100点)とB015-00 後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料(180点)は、今回、新たに加わった点数である。

B014-00 後期高齢者退院時薬剤情報提供料
(1) 後期高齢者退院時薬剤情報提供料は、医薬品の副作用や相互作用、重複投与を防止するため、患者の入院時に、薬剤服用歴や患者が持参した医薬品等(医薬部外品及びいわゆる健康食品等を含む。)を確認するとともに、入院中に使用した主な薬剤の名称等を患者の薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳(区分番号「B011-03」薬剤情報提供料の(2)に掲げる手帳をいう。以下同じ。)に記載した場合に、退院の日において後期高齢者である患者について、退院の日1回に限り算定する。なお、ここでいう退院時とは、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院時には算定できない。
(以下、略)


 後期高齢者診療料の通知にも以下の記載がある。

(10) 当該患者の服薬状況及び薬剤服用歴を当該患者の薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳(区分番号「B011-03」薬剤情報提供料の(2)に掲げる手帳をいう)等により確認すること。また、院内処方を行った患者が当該手帳を所持している場合は投薬内容等を記載すること。


 後期高齢者に薬剤に関する「手帳」を常時携帯させたいと厚労省は考えている。薬剤の重複投与予防と同時に複数の医療機関にかかりにくくする意図もある。

B015-00 後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料
(1) 後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料は、栄養管理計画に基づき栄養管理が実施されている入院中の患者の退院に際して、管理栄養士が医師の指示の下、当該計画に基づき、患者、家族等に対して、患者の退院後の生活を勘案した上で、退院後の在宅での栄養・食事管理について概ね15分以上指導を行うとともに、必要な情報を文書で提供した場合に、退院時に算定する。なお、ここでいう退院時とは、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院時には算定できない。
(2) 後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料の対象となる患者は、経口摂取を行う患者であって次のアからエに掲げる要件の全てに該当するものである。なお、経管栄養のみの患者は対象となっていないが、経管栄養と経口摂取を併用している場合は、対象患者となる。
ア 当該指導の実施日において後期高齢者であること。
イ 低栄養状態にある者。なお、低栄養状態にある者とは、アルブミン値が概ね3.5g/dL以下の者若しくはBMIが概ね18.5未満の者又は医師が低栄養状態にあると認めた者をいう。
ウ 区分番号「A233」栄養実施加算が算定されていること。
エ 当該指導の実施日において、食事が提供されていること。
(中略)
(5) 死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所に入院するため転院した場合は、算定できない。また、退院後、栄養士の配置が義務づけられている施設へ入所する場合は算定できない。
(後略)


 通知の内容をみれば分かるように、栄養不良な後期高齢者の在宅復帰促進を目的としている。要件が厳しく、実際算定可能な者は少ないだろう。また、残念ながら、他の退院時指導料と同様、回復期リハビリテーション病棟では算定できない。急性期病棟からできる限り早期に自宅退院させるために設定された指導料と推測する。