地域連携クリティカルパスの現状でとりあげた中医協診療報酬基本問題小委員会平成19年10月31日資料内にある資料(診-3-3)を読み直してみた。。
次のデータが気になっている。
地域連携診療計画管理料算定患者数(N=34施設)
1施設当り平均患者数 | |
---|---|
大腿骨頸部骨折による入院患者数 | 112.5 |
地域連携診療計画管理料を算定した患者数 | 42.2(37.5%) |
大腿骨頸部骨折による入院患者数が1施設あたり112.5人いながら、地域連携診療計画管理料を算定した患者数が42.2人(37.5%)にとどまっている。
大腿骨頸部骨折患者の平均在院日数は下記表のように、計画管理病院で確かに減少している。
平成17年度 | 平成18年度 | |
---|---|---|
計画管理病院(N=33施設) | 38.2日 | 33.0日 |
連携医療機関(N=53施設) | 64.1日 | 62.7日 |
しかし、下記図表を見ると、地域連携診療計画管理料算定患者に比べ、大腿骨頸部骨折患者全体では、長い在院日数のところが尾を引くように存在する。
順調な経過で、連携医療機関に転院せず退院できる患者もいる。しかし、データをみる限り、回復期リハビリテーションの対象とならない患者が計画管理病院で長期入院を続けていると読み取れる。
大腿骨頸部骨折患者は、受傷前の歩行能力が低い。認知症、脳血管障害などの併存疾患も多い。現在、大腿骨頸部骨折の地域連携クリティカルパスづくりに参加しているが、急性期医療機関の先生からは、繰り返し認知症の患者をパスに入れて欲しいという要望が出される。しかし、討議すると、パスに入れずに個別に相談をという結論になる。
厚労省が中医協に出した資料をみる限りでは、大腿骨頸部骨折で患者選別が既に行われている可能性が高い。今回の診療報酬改定で回復期リハビリテーション病棟に自宅退院率や重症患者回復率が設定される。認知症や介護力がない患者を中心に、パス適応からはずされる患者が増えると予想する。