ゲーム機とリハビリテーション

 CNN co.jpより「リハビリにWiiを導入 意欲向上に効果と」という記事が配信された。一部を引用する。

イリノイ州南部のヘリン病院は、昨年からWiiを活用している。患者はモーションセンサー付きのコントローラーを操作して、画面上でのテニスやボクシングに熱中するうち、知らず知らずに従来のリハビリと同様の運動を繰り返すというわけだ。リハビリ部門責任者のジェームズ・オズボーン氏は「画面に現れる架空の相手を倒すことに集中するから、リハビリのつらさを感じなくなったという患者が非常に多い。苦痛から意識をそらすことで、運動もスムースになる」と、Wiiの効果を強調する。


ノースカロライナ州ローリーのウェークメド・ヘルス病院では、9歳から80歳代までの患者が、Wiiを取り入れたリハビリに取り組んでいる。昨年末に脳卒中で倒れ、左腕にまひが残った元警官のビリー・ペリーさん(64)は、「孫たちがWiiで遊んでいるのを見たことがあったので、病院でリハビリにと提案されて飛びついた。楽しいから、体がリラックスして動かしやすくなるね」と、笑顔で話す。「今度孫を訪ねた時には、仲間に入れてもらうつもりだ」という。


Wiiはまた、イラクなどで負傷した米兵を受け入れる軍病院でも活躍している。負傷兵は20代前半の若者が多く、普段からゲームを楽しむ層と重なっているため、Wiiによるリハビリを受け入れるのに何の抵抗もないようだ。さらに、ミネソタ州ミネアポリスでは、ミネソタ大と地元病院が共同で、Wiiのリハビリ効果を科学的に裏付けるための研究に取り組んでいるという。


任天堂には、Wiiをリハビリ用として売り込む動きは特にみられないが、同社の報道担当者は「リハビリという分野に新たな活用法が見出されるのは、喜ばしいことだ」と話している。


 九州大リハビリテーション部の高杉紳一郎先生は、リハビリテインメント(リハビリテーションとエンテーテインメントを合わせた造語)マシン*1ナムコと共同開発している。「ワニワニパニックRT」、「太鼓の達人RT〜日本の心〜」、「ドキドキへび退治RT」などが発売されている。
 ナムコは、2004年には実践の場として横浜ワールドポーターズ内にデイサービスセンター「かいかや」をオープンし、人気を集めている。JDN Reportより「楽しさいっぱいの介護サービス─ ナムコ・バリアフリーエンターテインメント事業の挑戦 ─」に詳しい状況が描かれている。


 以前、日本リハビリテーション医学会で高杉紳一郎先生の発表を聞き、その斬新なアイディアに感動した。しかし、その時点では、リハビリテインメントマシンは高価であり、導入に二の足を踏んだ。
 米国では、Wiiを使ったリハビリテーション研究が始まっている。薄型TVと組み合わせて購入してもさほどの経営的負担とはならない。
 考えてみれば、ゲーム機産業は日本のお家芸であり、この資産をリハビリテーションに生かさない手はない。スタッフを少し焚き付けてみようと思う。まずは、通所プログラムの中に組み入れることを考えてみたい。

*1:アミューズメントの要素を取り入れて、高齢者や障害のある方が楽しみながら機能回復やトレーニング効果が得られることを目的としたゲーム機器