目標設定等支援・管理料算定はなかなか面倒

 2016年3月4日、平成28年度診療報酬改定についてが更新され、告示・省令、通知が示された。膨大な資料のなかで重要と思われるものは、平成28年度診療報酬改定説明会(平成28年3月4日開催)資料等について内にある、平成28年度診療報酬改定説明(医科) III-1 通知その02III-1 通知その05、そして、III-1 通知その06である。
 今回は、目標設定等支援・管理料について検討する。


 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について、という通知より、目標設定等支援・管理料の部分を引用する。

H003-4 目標設定等支援・管理料
(1) 目標設定等支援・管理料は、要介護被保険者等に対するリハビリテーションの実施において、定期的な医師の診察、運動機能検査又は作業能力検査等の結果、患者との面接等に基づき、医師、看護師、理学療法士作業療法士言語聴覚士社会福祉士等の多職種が患者と共同して、個々の患者の特性に応じたリハビリテーションの目標設定と方向付けを行い、またその進捗を管理した場合に算定する。
(2) 医師及びその他の従事者は、共同して目標設定等支援・管理シート(別紙様式23の5又はこれに準じた様式)を作成し、患者に交付し、その写しを診療録に添付すること。
(3) 医師は、作成した目標設定等支援・管理シートに基づき、少なくとも次に掲げる内容について、医師が患者又は患者の看護に当たる家族等(以下この区分番号において「患者等」という。)に対して説明すること。また、説明を受けた患者等の反応を踏まえ、必要に応じて適宜、リハビリテーションの内容を見直すこと。
 ア 説明時点までの経過
 イ 当該保険医療機関における治療開始時及び説明時点のADL評価(BI又はFIMによる評価の得点及びその内訳を含む。)
 ウ 説明時点における患者の機能予後の見通し
 エ 当該患者の生きがい、価値観等に対する医師及びその他の従事者の理解や認識及びウの機能予後の見通し等を踏まえ、どのような活動、社会参加の実現を目指してリハビリテーションを行っているか又は行う予定か。
 オ 現在実施している、又は今後実施する予定のリハビリテーションが、それぞれエの目標にどのように関係するか。
(4) 医師は、(3)の説明について、その内容、当該説明を患者等がどのように受け止め、どのように反応したかについて診療録に記載すること。
(5) 当該患者が、以後、介護保険によるリハビリテーション等のサービスの利用が必要と思われる場合には、必要に応じて介護支援専門員と協力して、患者等に介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等を提供する事業所(当該保険医療機関を含む。)を紹介し、見学、体験(入院中の患者以外の患者に限る。)を提案すること。


 別紙様式23の5は、下記のとおりである。




 脳血管疾患等リハビリテーション料の注6には、次のようなことが記載されている。なお、経過日数に関しては、廃用症候群リハビリテーション料では40日、運動器リハビリテーション料では50日となっている。

注6 注1本文に規定する別に厚生労働大臣が定める患者(要介護被保険者等に限る。)に対し、それぞれ発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から60日を経過した後に、引き続きリハビリテーションを実施する場合において、過去3月以内にH003-4に掲げる目標設定等支援・管理料を算定していない場合には、所定点数の100分の90に相当する点数により算定する。


 目標設定等支援・管理料の注意点は以下のとおりである。

1. 対象は要介護被保険者等(要支援、要介護の認定を受けている者)である。
 要介護認定を受けていない者は対象外であり、算定できない。要介護認定の確認が必須となる。
2. 算定日数上限の3分の1を過ぎた時点から対象となる。維持期だけでなく回復期の対応が問題となる。
 過去3月以内に目標設定等支援・管理料を算定していない場合に診療報酬減額になる。したがって、リハビリテーション開始時に要介護認定を受けていることを確認できた場合には、当月ないし翌月には目標設定管理シートの交付、説明を行うことが適切である。一方、要介護認定を新たに受ける場合、どのように判断されるかは不明である。算定日数上限の3分の1を過ぎた段階で初めて要介護認定を受ける場合は、過去3月以内に目標設定等支援・管理料を算定することは困難である。疑義解釈待ちとなる。
3.目標設定管理シートの交付、説明は、リハビリテーション総合計画書等の交付、説明の機会に一体として行うことが現実的である。
 目標設定管理シートは、準じた様式も認められる。したがって、現在、各施設で使用しているリハビリテーション総合計画書等の補助資料として作成することが現実的である。


 以上の注意点をまとめると、目標設定等支援・管理料の算定漏れによる診療報酬減算を防ぐ意味でも、回復期リハビリテーション病棟などで数ヶ月単位でリハビリテーションを施行する患者に対しては、リハビリテーション総合計画書等と合わせ、目標設定管理シートを全員に交付、説明した方が良いことになる。減算規定は平成28年10月1日から実施される。この間に、書式作成とシステム整備を行う必要がある。