回復期入院料1看護必要度A項目の患者割合が5%以上へと緩和
2016年3月4日、平成28年度診療報酬改定についてが更新され、告示・省令、通知が示された。膨大な資料のなかで重要と思われるものは、平成28年度診療報酬改定説明会(平成28年3月4日開催)資料等について内にある、平成28年度診療報酬改定説明(医科) 、 III-1 通知その02、III-1 通知その05、そして、III-1 通知その06である。
今回は、医療機能に応じた入院医療の評価についてで取り上げられた一般病棟用の「重症度、医療・介護必要度」の見直しが、回復期リハビリテーション病棟に与える影響について、検討する。
一般病棟用の「重症度、医療・介護必要度」は、A項目、B項目とも見直しが行われ、手術に関わる項目としてC項目が設けられた。
回復期リハビリテーション病棟入院料1の基準は、A項目1点以上で変更はない。今回、無菌治療室での治療と救急搬入後の入院(2日間)が追加となったが、いずれも回復期リハビリテーション病棟にとっては算定困難な項目であり、以前とほぼ同様の基準のままと考えて良い。
改定後の該当患者割合を見ると、回復期リハビリテーション病棟入院料1のみ、10%以上から5%以上に引き下げられている。一方、7対1入院基本料では15%以上が25%以上に引き上げられている。
なお、10対1病棟では線引きの基準が変更されているが、看護必要度加算がより高い点数が取れるようになっている。地域包括ケア病棟入院料も手術、麻酔に関する費用が除外され、手術に関するC項目も算定基準に加えられた。
全体として、7対1病棟の基準が厳しくなる一方、受け皿となる10対1病棟、地域包括ケア病棟、そして、回復期リハビリテーション病棟の基準が緩和されたことになる。
A項目割合の緩和に関しては、診療報酬改定答申の段階では全く触れられていなかった。入院料1取得を誘導するような改定内容となっており、狐につままれたような気分である。今回の診療報酬改定で導入されたFIM運動項目に基づくアウトカム評価がムチだとすると、A項目要件の緩和はアメである。成果を上げることができる回復期リハビリテーション病棟なら高い点数を保障しましょうというニンジンを目の前にぶら下げられているような気がして、少々癪にさわる。