体制強化加算の医師専従要件緩和などその他の改定項目

 中央社会保険医療協議会 総会(第316回)平成27年12月2日が開催され、リハビリテーションに関する診療報酬改定の議論が行われた。個別事項(その5;リハビリテーション)についてが議論のもとになった資料である。
 今回は、これまで紹介してきた回復期リハビリテーション病棟、廃用症候群、そして、維持期リハビリテーション以外の問題を簡単に紹介する。なお、最後の摂食機能療法に関する課題は、本日行われた中央社会保険医療協議会 総会(第319回)平成27年12月11日、個別事項(その6:技術的事項等)について 総−1(PDF:7,358KB)で、胃瘻問題が論じられているので、別の機会に検討する。


 今回は、課題と論点の部分のみを列挙し、簡単に解説を加えるのみとする。


 心大血管リハビリテーションを普及させるために、循環器科や心臓血管外科の標榜がなくても実施できるようにするという提案である。具体的には、発症から1ヶ月以上経った心筋梗塞や大血管疾患を想定している。しかし、心大血管疾患リハビリテーション料(II)の方は、1単位105点と極めて低い点数となっている。医師要件を緩和しても、点数が上がらない限り普及はしないのではないかと予想する。


 リハビリテーション職の専従要件緩和に関する提案である。


 こちらは、回復期リハビリテーション病棟入院料1の医師専従要件緩和の提案である。具体的には、外来、訪問診療、他の病棟の患者の診療(当該回復期リハビリテーション病棟から一時的に転棟した患者の診療を含む)が想定されているようである。無駄に厳しかった医師要件の緩和であり、歓迎すべき改定である。ただし、同時に、体制強化加算の点数が引き下げられる可能性もある。


 ADL維持向上等体制強化加算に関しては、全く普及していない。急性期病棟に専任の療法士を張りつける試み自体を行っている医療機関は見聞きするが、診療報酬自体が低すぎるため算定に至っていない。「評価を充実」という用語は診療報酬アップという意味の厚労省用語だが、どの程度上がるか見極める必要がある。


 こちらは規制強化である。初期加算、早期加算の要件は、発症日・手術日が明確な疾患に限られる。慢性期疾患や廃用症候群は明確に除かれることになる。



 こちらは規制緩和であるが、訓練室以外(病棟、階段、病院敷地内の屋外)でのリハビリテーションが普及しているなか、今更ながらという感がする。


 リンパ浮腫に対するリハビリテーションの普及を目指した改定である。