義援金等が払われたことにより生活保護を打ち切られる例が続出している。
東日本大震災の義援金や東京電力福島第1原発事故による仮払い補償金を受け取った福島県南相馬市などの約150世帯が生活保護を打ち切られていたことが16日、分かった。自治体側は厚生労働省の通知に従って補償金などを「収入」とみなし、減額や廃止を決めたという。
生活保護は受給者に収入があれば減額や廃止の対象になる。厚労省は5月、補償金や義援金の受け取った総額が、生活用品などの生活再建費用などを上回った場合、その分を「収入」とみなす−などとする通知を各自治体に送った。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110616/dst11061620540025-n1.htm
元になった厚労省通知は、東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)である。
1 義援金等の生活保護制度上の取扱いについて
義援金等の生活保護制度上の収入認定の取扱いは、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知)第8の3の(3)のオに従い、「当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額」を収入として認定しないことととし、その超える額を収入として認定すること。
自立更生のために充てられる費目(例)には次の項目が並んでいる。
- 生活用品・家具
- 家電
- 生業・教育
- 住家
- 結婚費用(寡婦福祉資金の結婚資金の貸付限度額相当)
- 墓石、仏壇、法事等弔意に要する経費
- 通院、通所及び通学等のために保有を容認された自動車の維持に要する経費
- その他
この非常時に「自立更生」を目指し、上記項目をいちいちチェックする余裕が行政側にあるのだろうか、という疑問がする。しかも、根拠となったのは50年前の通知である。義援金という善意が、生活保護費の削減を通じ、自治体の赤字補填に使うつもりなら本末転倒である。母子家庭や障害者などより援助が必要な生活保護世帯に対し、行政が冷たい仕打ちを行っている。