2020年度回復期リハビリテーション病棟入院料見直しの詳細

 2020年度診療報酬改定の詳細が明らかになった。

 

 第2.改定の概要2,令和2年度診療報酬改定説明資料等について内にある、01 令和2年度診療報酬改定の概要(全体版)【7331KB】をクリックすると、PDF資料がある。

 回復期リハビリテーション病棟入院料に関する資料は、169〜172ページにある。

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 中身はともかく、かわいいフリー素材集 いらすとやの資料が多数使用されているのが気になる。基本的には無料ということでよく見かけるイラストだが、「素材を21点以上使った商用デザイン」の場合は有償となる。厚労省のような公的機関だと無料で使えるのかもしれないが、あまり多用するのはいらすとやの宣伝を政府がしているようで望ましくないと感じる。

 本題に戻る。前エントリーでも、回復期リハビリテーション病棟入院料改定についてまとめている。

 

 その時、主な改定内容は以下のとおりと紹介した。

  1. 回復期リハビリテーション病棟入院料1及び回復期リハビリテーション病棟入院料3におけるリハビリテーション実績指数の要件について、それぞれ水準を引き上げる。
  2. 回復期リハビリテーション病棟に入院した患者に対して、入院時FIM及び目標とするFIMについて、リハビリテーション実施計画書を用いて説明し、計画書を交付することとする。また、退院時FIMについても同様の取扱いとする。
  3. 入院患者に係る要件から、発症からの期間に係る事項を削除する。
  4. 回復期リハビリテーション病棟入院料における重症者の定義に、日常生活機能評価に代えてFIM総得点を用いてもよいものとする。
  5. 回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準である、「当該病棟に専任の常勤管理栄養士が1名以上配置されていることが望ましい」とされているものを専任配置に変更する。
  6. 回復期リハビリテーション病棟入院料2~6について、現状、管理栄養士の配置規定はないが、施設基準に「当該病棟に専任の常勤管理栄養士が1名以上配置されていることが望ましい」旨を追加するとともに、栄養管理に係る要件を設ける。

 

 最大の焦点だった実績指数に関しては、回復期リハビリテーション病棟入院料1で37→40に、同入院料3で30→35となった。当初予想していたよりは低めの水準となった。その他に関しても予想どおりの改定内容だが、重症定義にFIM総得点を使用可能という部分に関しては詳細は不明と指摘していた。そのうえで、重症定義としてFIM総得点30点台前半が設定され、重症改善基準は25点程度ではないかと予測した。

 結論から言うと、3枚目の図の欄外に小さく記載されているように、実際に設定された重症基準は、FIM総得点55点以下となった。また、重症改善基準は、入院料1、2でFIM総得点16点以上、入院料3、4で12点以上となっている。予測よりかなり緩い基準となった。日常生活機能評価よりFIMの方が細かな変化を反映できることを考えると、重症定義にFIM総得点の方を用いる医療機関が増えるのではないかと予想する。

 なお、令和2年度診療報酬改定資料、01(医科)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について【3,081KB】 の94〜98ページと、04基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて【1,205KB】の157〜164ページに回復期病棟に関する資料がある。改定内容が赤字で記載されており、わかりやすい。

 地域連携診療計画加算を算定する患者の場合に関しては、最初の資料の方に下記記載がある。

 

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 この文章で注目すべきは、「原則として」という文言がわざわざ付け加えられたことである。急性期病院で日常生活機能評価を用いているが、回復期リハビリテーション病棟で重症者定義としてFIMを用いる場合、両者の評価が異なることになる。この場合の対応として、「原則として」という文言が入ったのではないかと推測する。いずれにせよ、疑義解釈待ちとなる。

 

 回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準に係る届出に用いられる、別添7の様式9、 様式 20、様式 49 から様式 49 の7(様式 49 の4を除く。)および日常生活機能評価届出に用いられる様式 49 の4ほかの届出書類に関しては、令和2年度診療報酬改定についての【省令、告示】(それらに関連する通知、事務連絡を含む。)(3)2 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)  PDF にある。

 

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 届出書類のうち、様式49の4に関しては、重症者定義が「入院時に日常生活機能評価が10点以上又はFIM総得点が55点以下の重症患者の数」と変更されている。しかし、他の様式、例えば、様式49の2に関しては、「入院時の日常生活機能評価が10点以上であった患者数」のままとなっている。おそらく、厚労省の単純ミスであり、すぐに修正されると予想する。