オセロゲームと小選挙区制

 衆議院選挙の開票が進んでいる。自民党公明党が大敗し、民主党は300を超える議席を獲得した。自民党の派閥の領袖は軒並み苦杯をなめ、公明党は幹部が枕を並べて討ち死にした。
 4年前の郵政選挙と全く反対の結果となった。オセロゲームのような結果となった最大の原因は、自公連立政権の失政であることは間違いない。医師不足、医療費削減の影響を受け、医療崩壊が一気に進んだ。連続する介護報酬削減のため、介護労働者のワーキングプア化が進行した。消えた年金問題は国民の怒りに火をつけた。規制緩和の美名の下、低収入の非正規労働者が増えた。この間、生活を豊かにするまともな政策を実行されていないことに審判が下った。
 今回のような極端な選挙結果となった一因として、小選挙区制度の影響がある。小選挙区制度は、民意を忠実に反映するよりは、民意を増幅する機能の方が優先されている。しかし、小選挙区比例代表並立制という現選挙制度でなければ政権交代が起こらなかったかどうかについては、疑問がある。急速な経済成長の果実を分配することによって政権を保ってきた自民党は、経済の低迷とともに地盤沈下を起こしてきた。たとえ中選挙区制度のままでも、自民党の統治システムの劣化の結果、早晩、政権党の座から降りることになったのではないか。
 民主党は、比例代表枠の削減を主張している。しかし、小選挙区の比重が高まると、現状でも議席を得ることが困難な中小政党が国政から排除される。多様な意見の反映が損なわれないかを危惧する。