麻生太郎氏、医療に関し口約束を連発

 次期自民党総裁として目されている麻生太郎氏が、医療に関し口約束を連発している。


 まず、47ニュース、麻生氏、社会保障費圧縮を凍結 「10年度予算で」日医連に伝達より。

麻生氏、社会保障費圧縮を凍結 「10年度予算で」日医連に伝達


 日本医師会政治団体日本医師連盟(日医連)の羽生田俊常任執行委員は18日午前、都内で記者会見し、社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する政府方針について、自民党関係者が麻生太郎幹事長の意向として「2010年度予算で凍結したい」と伝えてきたことを明らかにした。


 日医連はこれを受け、衆院選の対応について「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」との方針を決めた。


 羽生田執行委員は「医療費抑制策をしている自民党をなぜ推すのかという意見は2年前からあるが、政権与党に政策を訴え、理解は十分に進んだ」と述べた。


 衆院選をめぐっては、茨城県医師連盟が17日に県内の7つの小選挙区すべてで民主党の立候補予定者を推薦すると発表している。日医連は自民党の有力支持団体で、民主党候補の推薦を打ち出すのは極めて異例。


 羽生田執行委員は、茨城県以外では民主党候補を推薦する動きはないとしている。


2008/09/18 12:26 【共同通信


 続いて、毎日新聞後期高齢者医療制度:「見直し」年齢で区別せず、天引き強制せず−−厚労相より。

後期高齢者医療制度:「見直し」年齢で区別せず、天引き強制せず−−厚労相


 ◇「国民不満解消を」 すべては選挙のために


 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度に代わる新制度創設の検討を打ち出した舛添要一厚生労働相は20日朝、東京都内で記者団に対し(1)年齢のみで対象者を区分しない(2)年金からの保険料天引きを強制しない(3)現役世代と高齢者の世代間の反目を助長させない−−の3原則に基づき、新政権で議論する考えを明らかにした。


 高齢者の比率の高い医療保険運営者に対し、現役世代が多い他の運営者が財政支援する「年齢リスク構造調整方式」や、高齢になっても従来の保険に加入し続け、その医療費を被用者全体で支える「突き抜け方式」などの利点を組み合わせた制度を検討するという。


 舛添氏は「国民が制度をノーと言っている。不満を解消する方向に変える。次の政権へのメッセージだ。政策を大きく変えるのは選挙の時でないとできない」と述べた。衆院解散・総選挙をにらみ、高齢者の批判が強い後期高齢者医療制度の抜本改革のアピールで、次期政権への追い風になることを期待した発言とみられる。


 舛添氏によると、見直し案は自民党総裁選で選出が確実視されている麻生太郎幹事長に伝え、理解を得た。このため総裁選で舛添氏は、麻生氏を支持するという。【佐藤丈一】


毎日新聞 2008年9月20日 東京夕刊


 社会保障費2,200億円削減見直し、後期高齢者医療制度廃止、いずれも当然のことである。首相の座をほぼ手中にした麻生太郎自民党幹事長は、不人気な政策の再検討をはかっている。
 しかし、記事をよく読んでみると、口約束でしかないことが分かる。社会保障費2,200億円削減見直しを日本医師連盟に伝えたのは、麻生氏の意向を受けた自民党関係者である。後期高齢者医療制度廃止は、舛添厚労相が麻生氏支持の条件として提案したものである。いずれも、自民党の責任ある機関で決定していない。後期高齢者医療制度廃止に関しては、公明党に対する根回しが全くなく、不協和音すら聞こえてくる。
 そもそも、社会保障費2,200億円削減に関しては、撤廃ではなく「凍結」である。いつでも解凍できる。また、実施年度も来年ではなく、再来年2010年度である。首相がころころ変わる日本においては、鬼が笑うような話である。
 総裁選が空騒ぎに終わりそうな中、少しでも政権与党の支持率を上げ、賞味期限の切れないうちに、一気に解散総選挙に持っていこうという自民党戦略が透けて見える。国民は愚弄されている。こんな茶番劇に乗っているのは、日本医師会幹部くらいしかいない。