新型インフルエンザ停留措置、7日間に緩和

 新型インフルエンザの停留措置が、10日間から7日間に緩和された。厚生労働省:新型インフルエンザ(A/H1N1)新着トピックス内にある、新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会報告(委員長:尾身茂自治医科大学教授)(PDF:83KB)より。

 わが国が実施してきた水際対策については、国内への新型インフルエンザの侵入を防ぎ、国内感染が拡大することを阻止する目的で一定の効果をもたらしてきたものと考えている。今回、成田空港で実施している検疫体制において、4人の新型インフルエンザ患者を早期に発見し、専門的な医療につなげるとともに、濃厚接触者に対しては停留措置をとり、国内へのウイルスの侵入を防ぐための効果が上げた。
 現在、停留措置は10日間としているところであるが、これは高病原性H5N1鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザを想定した対策である。一方、米国CDCが発出したガイダンスによるとH1N1新型インフルエンザの潜伏期間は1〜7日とされており、今回の日本人4人の感染事例における病状もそれと矛盾しないと考えられた。
 このため、専門家諮問委員会としては、停留対象者に過重な負荷となりつつあるこの措置を10日間から7日間に縮小しても、十分にこれまでの水際対策の効果を維持できるとの結論に至った。
 したがって、停留をはじめ、新型インフルエンザの潜伏期間に基づいて実施されている各種の水際対策については、その潜伏期間を7日間であることを前提として取り組むように要請する。
 なお、専門家諮問委員会としては、新しく得られた知見を基に、今後とも更なる提言を行う方針である。


 検疫体制については、様々な批判がある。特に、当初想定された強毒型新型インフルエンザではなかったにも関わらず、ものものしい警戒体制をとったこと自体が、社会不安を広げる原因となっている。海外に修学旅行に行った高校への批判も報道され、感染者が肩身の狭い思いをするなどの事態を招いている。海外渡航自粛の動きも認められる。経済活動の縮小化につながらないかという懸念を抱く。
 今回の専門家諮問委員会報告は、水際作戦の継続を行うことを表明しつつ、停留措置を緩和するという内容になっている。短縮期間も10日間を7日間にするなど微調整にすぎないという印象を持つ。今後もしばらく検疫活動を続けるという宣言のように、私は感じた。
 新型インフルエンザの特徴を考えると、季節性インフルエンザと同様にある程度蔓延することは避けられない。いつまでも検疫体制を維持し、水際で完全に遮断することは不可能である。検疫体制をいつ解除するかについて、難しい判断が迫られている。