小児の誤嚥事故、ピーナッツなど豆類にも注意必要

 飴玉、こんにゃくゼリー以外にも、小児に食べさせてはいけない食物がある。ピーナッツなど豆類である。厚労省平成11年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告より。

4)食品
 幸い、本年度も食品類に関する報告では入院に至るような重篤な症状を呈した事例はみられなかった。しかしながら、いわゆるグミキャンディーの誤飲で気道が一時ふさがれたと思われる事例や、重篤な障害をまねく恐れのあるピーナッツの誤飲の例が見られた。ピーナッツや枝豆は、気道に入りやすい大きさ、形状及び硬さを有しているので、特に2歳未満の乳幼児においては、誤飲事故の原因となりやすい。しかもこのような食品は、気道に入ってしまうと摘出が困難であり、乳幼児にそのまま食べさせること自体禁忌である。平成5年度にはこれらによる死亡事故の報告もあり、保護者自身が十分に注意する必要がある。
 酒類については1件の報告があった。アルコール飲料の誤飲事故では循環器症状がみられることもあり、重篤な事故につながる可能性もあるので、子供に飲料を与える前には親が確認することも必要である。
 未だ本報告の調査例では報告がないが、過去にこんにゃくゼリーの誤飲による死亡事故が発生している。当該事故後に形状の工夫等の対策は取られているが、こんにゃくのようなものは、噛み切りにくく、いったん気道へ詰まってしまうと、重篤な呼吸器障害につながるおそれがある。食品とはいえ乳幼児等に与える際には、保護者はこのような点に十分に注意を払う必要がある。


 ピーナッツ誤嚥事故は、異物を吸い込んでしまった時の対処法   ピーナッツに、X線写真入りで、詳しく記載されている。


 西日本新聞ピーナツなど豆類 子どもの誤嚥注意を(2007年01月29日)をみると、福岡市立こども病院・感染症センター耳鼻咽喉科では、全身麻酔下に気管支鏡で異物除去を行う症例が1年に2-5件あるという。その内訳は次のとおりとなっている。

 過去5年間で処置した14件のうち、一歳の幼児が半数を占め、異物で最も多かったのが豆類だった。ピーナツ(チョコレートなどが混ざったものも含む)、大豆などで、全国的にも似たような傾向にあるという。食品以外では、おもちゃ(プラスチック玩具の破片、ビーズなど)や文房具などの報告例もあった。


 初期研修で小児科を回っていた時、偶然、ピーナッツ誤嚥事故を経験した。難治性肺炎と最初診断されていたが、病歴聴取でピーナッツを食べていたことが判明し、ピーナッツ肺炎と診断された。大学病院耳鼻咽喉科に紹介し、異物除去術を施行していただいた。忘れられない症例である。