ベッド柵での死亡事故、病院とベッド会社が提訴される

 ベッド柵での死亡事故に関し、病院とベッド会社が提訴された。

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ベッド事故で病院など提訴 '09/2/10


 広島赤十字・原爆病院広島市中区)で昨年2月、入院していた広島県西部の60代の男性患者がベッドの転落防止柵のすき間に首を挟んで死亡した事故で、男性の妻らが9日までに、パラマウントベッド(東京)と病院を運営する日赤に計4200万円の損害賠償を求め広島地裁に提訴した。


 訴状によると、男性は08年2月17日、ベッドの2つの柵のすき間(約6センチ)に首が挟まって心肺停止状態で見つかり、11日後に低酸素脳症で死亡した。「メーカーが安全性を欠くベッドを製造し、病院側もすき間が生じないよう防止策を取らなかった過失がある」としている。


 男性の妻は、「他県でも事故が起きており、再発防止の取り組みがきちんとされていないと感じた」と提訴の理由を話している。メーカーと病院側は「裁判の中で主張を明らかにしたい」としている。

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 今回、当事者である医療機関と同時に、ベッド会社が製造物責任を求められ、巨額の賠償金を請求された。ベッド柵による窒息死亡事故を減らすためには、介護者、医療従事者、施設従事者などの介護用ベッドユーザーに対し、製造メーカー・販売会社・レンタル業者などが危険性を周知徹底することから始まる。
 米国の食品医薬品局(FDA)、http://www.fda.gov/cdrh/beds/によると、85〜08年初め、介護ベッドの柵のすき間に寝ている人の体が挟まれる事故772件起き、死者は460人、136人がけがをした。日本でも、経産省の重大製品事故報告によると、2007年5月から2008年8月までの間に、16件の事故、10人の死亡が報告されている。しかし、ベッド柵による窒息事故の危険性はまだ広くは知られていない。
 食事に伴う窒息、転倒に伴う骨折・頭部外傷、経鼻胃管気道内誤留置に伴う肺炎、そして、徘徊に伴う行方不明など、様々な事故が高齢障害者で起こっている。いずれも、高齢障害者自身の内的要因と、環境因子などの外的要因の相互作用で生じる。ベッド柵による窒息事故も同種の事故である。
 自力で座位保持がとれる方では、この種の事故は起きにくい。座位不能の方がベッドアップした状態で放置されると、姿勢が崩れてしまうおそれがある。その際、頚部をはさむような器物(ベッド柵のすきま、ナースコールなどのコード)があれば、窒息事故を起こす。したがって、ベッド及び付属品選定の際、自力座位保持能力についての評価が必須となる。座位不能と判断した場合、ベッド柵のすき間を埋める器具設置を義務づけるくらいでないと、事故は予防できない。