フランスの少子化対策

 フランスの少子化対策の実例が報道された。Yahoo!ニュース、アンジー&ブラピ8人家族に、仏政府が育児手当を給付!より。

アンジー&ブラピ8人家族に、仏政府が育児手当を給付!
8月27日11時35分配信 eiga.com


 [eiga.com 映画ニュース] 6人の子供を持つ、フランス在住のアンジェリーナ・ジョリーブラッド・ピットカップルに、仏政府から育児助成プログラムにのっとった児童手当2600ドル(約28万5000円)が支給されることになった。


 米セレブ情報サイトPeople.comによれば、ピットが南仏ブリニョールの村役場に家族全員の住民票を登録したことで、その育児助成プログラムの給付基準を満たしたもの。


 2600ドルの内訳は、6人の子供の「子守り代」が1カ月976ドル(約10万6000円)、3人の養子の子供の「孤児手当」がそれぞれ509ドル(約5万5000円)。


 もっとも、7月13日に誕生して新たにファミリーに加わった生後3カ月の双子のノックス・レオンとビビアン・マルシェリーヌは、ピープル誌に写真を披露しただけで1400万ドル(約15.4億円)も稼ぐほどだが……。


 ブリニュール村役場の広報担当によると、「個人所得についてはお話できませんが、幼い子供を持った地元住民である各家庭には、等しく育児手当が支給される決まりになっています」とのこと。


 ハリウッドのビッグカップルにとって、家計の足しになるありがたい話だが、これまでも2人は子供で得た写真掲載料などの収入は全額寄付に回して一銭も受け取っていないので、今回も寄付に回されるものと思われる。


 2人には、先月ニースで生まれたノックスとビビアンのほか、養子縁組したマドックス(7)、パックス(4)、ザハラ(3)の3人と、実子の娘シャイロ(2)の6人の子がいる。


 続いて、内閣府経済社会総合研究所、研究会報告書等NO.12、フランスとドイツの家庭生活調査 −フランスの出生率はなぜ高いのか−より。

主なポイント


フランスの高い出生率を支えるもの
○高い出産期女性の労働力率(80%)と高い合計特殊出生率(1.89)
○手厚くきめ細かい家族手当
・第2子以降には所得制限なしで20歳になる直前まで家族手当を給付
・子どもが3歳になるまで育児休業または労働時間短縮が認められ、第2子以降の育児休業手当は3歳まで受給可能
保育ママ、ベビーシッターの利用に関する補助金も利用可能
○子どもをもつ家庭に有利なN分N乗方式所得税
○多様な保育サービス
○35時間労働制で男女とも短い労働時間
○同棲による婚外子が一般化


ドイツはなぜ出生率が低いのか
○ドイツは児童手当等の現金給付は手厚いが、合計特殊出生率は低迷(1.34)
○保育サービスが不足
○学校は半日制、給食はなく、子どもは昼前に下校するため、母親のフルタイム就業は事実上困難
○フランスよりも性別役割分業意識が強いこともあいまって、女性は就業か子育てかの二者択一を迫られる状況


日本への含意
○家族政策の内容、子育てをめぐる諸政策の一貫性等が必要


 アンジェリーナ・ジョリーブラッド・ピットのような高額所得者にこれほどの育児手当を出す必要がないように感じる。しかし、低所得層のみに経済的援助を行う垂直的再分配より、同条件であれば等しく援助を行う水平的再分配の方が、格差縮小に役立つ。婚外子でもかまわないという徹底した少子化対策が効果的であることをフランスは示している。
 フランスと同様に、積極的に少子化対策を行ったスウェーデンデンマークなどでは、合計特殊出産率は増加している(参照:社会実情データ図録、図録合計特殊出生率の推移(日本と諸外国))。一方、日本では、格差社会が進行し、安心して子供を産み育てる収入がない。このまま、無策の状態で推移すれば、日本の少子高齢化は確実に進行していく。