外来管理加算5分ルール、中医協での議論

 外来管理加算5分ルールに関する中医協での議論を紹介する。平成20年7月9日中央社会保険医療協議会総会議事録より。

○遠藤会長
 それでは、中医協の議論の中で、意見としてそのようなものがあったということを専門家会議のほうに投げていただくという形にしていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
 では、そのようにさせていただきます。
 藤原委員、どうぞ。


○藤原委員
 そのほかの件なんですが、この6月4日に総会で外来管理加算の5分要件について、これは医療現場の柔軟な対応あるいは工夫を著しく損なうものだと。現場も混乱しているというようなことを申し上げ、一刻も早い見直しをここで要望させていただきました。これは検証以前の問題だとしてとらえたからそのような発言をさせていただいたわけなんですが、しかし、この外来管理加算の5分要件の根拠となったと思われます厚労省中医協提出資料の19年12月7日の内科診療所の患者1人あたりの平均診療時間分布について、厚労省もこれはもう既に御承知かと思いますけれども、データの不正流用、不正使用ではないかとの問題が起こっております。また、私どものところにも時間外診療に関する実態調査に協力した県からこのことにつきまして、この事実関係を確認せよと強い要望といい
ますか、抗議がきておりますけれども、この件につきまして、これが本当に事実なのかどうか、これほど問題が大きくなりますと、私どももこれを問いたださざるを得ない立場でございますので、経緯を説明していただきたいと思います。


○遠藤会長
 そのときの改定のときに使われたデータが今、藤原委員がおっしゃられたような内容なのかどうかということについての事務局に対する御質問、そういうことですね。


○藤原委員
 はい。


○遠藤会長
 それでは、お答えいただけますか。


○事務局(原医療課長)
 まず、外来管理加算についておおむね5分以上かかった場合に算定するという形にした経緯につきましては、全体の中で丁寧な説明をしていただくということを考えると、それぐらいの時間がかかるだろうということでもって、そう決めていただいたというふうに承知しております。その際に、では実際に5分で切った場合にどの程度の財源が要るかということにつきましては、私どもで行いました時間外診療に関する実態調査のデータを使いながら算出をしたものでございます。
 この時間外診療に関する実態調査については、私どもの医療課から調査先に対しましての依頼文書におきましては、今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的にこれこれを実施するという形でお願いをしておりますので、御指摘のような不適正な使用というふうには考えておりません。


○遠藤会長
 ありがとうございました。
 藤原委員、どうぞ。


○藤原委員
 ただいまの説明なんですが、私の医療機関もこの調査対象になった医療機関なんですが、本日持参していますが、実際にはこういった厚労省の言われた今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的という文書と、もう一つ、調査を委託されたみずほ情報総研株式会社のほうなんですが、これは今後の時間外の診療の在り方を検討するためとされておりまして、それについては、これは目的外使用はしないというふうにきちっと書いてあるんですが、そのように2枚内容のちょっと違う文書が入っているわけですね。私ども医療機関としては、この調査に応じる場合、調査内容とつながっている委託されたみずほ情報総研株式会社のものを見て判断し、これは時間外診療についてそれのみにしか使わないんだと、そういう理解のもとで協力をしたというふうに思いますけれども、只今の説明は少しちょっと足らないように思いますけれども、いかがなんでしょうか。


○遠藤会長
 2種類の依頼文が入っていたということですか。そして、みずほのほうでは限定した内容のみを聞くような文言になっていて、厚労省のものについては広く診療報酬改定に使うという内容のことが書かれていたと、そういう理解でよろしいですか。


○藤原委員
 はい。


○遠藤会長
 では、事務局、お願いします。


○事務局(原医療課長)
 みずほ情報総研株式会社に委託をして行いまして、そのみずほのほうから送りました協力の願いという文書には確かにそのような記述がございます。その分につきましては、その他救急医療とか全体のやる中で、私どもからの文書としてはすべて今後の診療報酬改定の検討資料とするという形で書いておりまして、そこの整合がなかった点につきましては、十分そこまで私どものほうでチェックできなかったという点についてはおわびを申し上げます。


○遠藤会長
 ありがとうございました。


○藤原委員
 今の説明は事務的な間違いであったということを言わたんでしょうか。


○事務局(原医療課長)
 私どもとしては、今回のこの調査については診療報酬改定の検討資料にするということで、これに限らず、ほかの救急医療とか時間外とかいろいろやっておりますが、その全般についてそのような形で考えておりました。


○藤原委員
 もし2つあると認識されたら、それは調査、これは2府4県でされたんですけれども、厚労省としてきちんとそのことについて謝罪とか、そういったことを考えるべきではないんでしょうか。今も調査された医療機関については非常にそういったことに対する不満、怒りがあるということを伝えたいと思いますけれども。


○遠藤会長
 ただ、全く診療報酬そのものについて使うということを述べていないわけじゃないわけですね。そういうものがもう一方で入っていたということだと思うんですけれども。


○藤原委員
 時間外診療に関する実態調査、そのことが根拠になって5分間ということが多分出てきているはずなんですよ。5分間、これも診察時間といいながら、いつの間にか診察時間になっているというような非常にファジーな形で出されて、それが恐らくこの場において5分ということに大きな影響を与えたと思うから、私はこのことをあえて取り上げた。それから、その辺の最初に申し上げましたように、行き違いといいますか、何か分からない整合性のない文書が入っていたという点について、もう少し明確にお答えいただきたいと思いますけれども。


○遠藤会長
 調査方法についてという問題と、もう一つはそこでとられたデータについて、我々が5分ということをここで審議をしたということについての話と2つあるわけですね。ですから、例えばここの議論がそのような調査であったために誤った方向の議論になったかどうかという話にもなるかと思いますので、これはむしろ委員の皆さんにその辺の御意見をお聞きしたいと思います。もちろん事務局からもあればお聞きしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 対馬委員、どうぞ。


対馬委員
 この問題の調査をどういった形でしたか。例えば先ほどのような2つの文書があったかどうかについて私どもは分かりません。ただ、少なくとも外来管理加算についての5分要件については再三再四議論してきたことで、今回の中医協の改定の中でも最大の眼目でした。とりわけ再診料について診療料を下げるかどうかということに関連して、今回そういったことが何も分からずに我々として決めたということは決してなく、いろんな問題含みの中で1号側、2号側ともに恐らく苦渋の決断をし、最終的には公益の先生に御判断を仰いで、そこで決断していただいたわけで、藤原委員の指摘のように、診療とか診察の時間がファジーであったことが原因ではない。もっと多面的・多角的かつ真剣な議論をしたということだけは申し上げておきたいと思います。


○遠藤会長
 ありがとうございます。関連、では手短にお願いします。


○藤原委員
 もう一言。関連というかただいまのことなんですが、支払い側がこのことについて十分議論、いや支払い側のみならず診療側も含めて議論されたということは承知しております。しかしながら、肝腎の5分要件、これが今一番問題になっているんですけれども、5分要件について、その5分がどこから出たのか、その資料がないんですよね。診察時間についてもこれまで厚労省はきちっと調べた例がない。出されたのはこの時間外診療に関する実態調査から出されたその資料しかないわけなので、その5分間ということがなぜ出てきたのかというのが非常に不思議に思うんです。厚労省の方は3時間診療して3分じゃまずいから5分だというふうなアバウトな言い方をされるときもあるんですけれども、そのあたりのところが本当に真剣な議論になったのかどうか、私にはそこのところが不思議でなりませんけれども。


○遠藤会長
 そのデータからどういう読み込みをしたかという問題が一つあるかと思いますけれども、と同時にここでの議論の中ではその5分というものが丁寧な説明をするという意味合いで、意味があるということで御議論が展開されていたと、委員の方々の間でされていたと私はそのように理解していたわけですけれども、それは事務局からまずお願いします。


○事務局(原医療課長)
 時間は先ほど言いましたように、診療の内容として入ってこられてから問診をして、診察をして、そしてそのほかいろいろなother any questionですね、そのほかの何か問題点はないですかというふうにそこまでやっていくと、恐らく5分はかかるだろうという議論の中で、5分という時間を設定したと。
 では、その5分と設定した場合に財源としてはどれぐらいが予測されるかということについては、その計算過程においては先ほどのデータを使わせていただきましたけれども、その5分が何かのデータをもとに絶対的なものとして御提案したわけではなかったように、議論の中ではそうではなかったように記憶しています。


○遠藤会長
 ありがとうございます。藤原委員、いかがでしょうか。では、とりあえず本日はそういう御意見があったというふうに承っておきます。
 外来管理加算につきましては、先ほどの検証部会でも既に出ておりますように、これ調査をやりますので、またそのときに御議論いただければというふうに思っております。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、これをもちまして総会を終了したいと思います。
 次回日程はまだ分かりませんか。


○事務局(原医療課長)
 次回は来週7月16日の水曜日をお願いしたいと思います。


○遠藤会長
 そうですか、失礼しました。来週ということでございますので、それではこれにて総会を終了したいと思います。ありがとうございました。


 厚労省原医療課長は、形ばかりの謝罪をしている。しかし、「今後の診療報酬改定の検討資料とする」という文言が入っていれば目的外使用も許されるという主張は、一般常識からあまりにもかけ離れている。
 外来管理加算に関する中医協議論について、原徳壽医療課長、データの不正使用ではないと強弁というエントリーで紹介した。説明に用いた資料が「時間外診療に関する実態調査」によるものであるとは一言も述べていない。通常こういう方法をとった場合、詐欺罪に問われる。
 論議の中で、外来管理加算5分ルールは検証部会で調査をすることを再確認した。医師会代表の藤原委員には追及の手を緩めないことを期待したい。