違法労働行為のデパート、グッドウィル
グッドウィルの違法労働行為はとどまることをしらない。朝日新聞、グッドウィル元支店長ら、未払い残業代請求へより。
グッドウィル元支店長ら、未払い残業代請求へ
2008年7月12日6時1分
今月末で廃業する日雇い派遣大手グッドウィルの元支店長と現役支店長が、管理職時代の残業代の支払いを求め、支援労組を通じて週明けにも会社に団体交渉を申し入れる。請求額は1人あたり300万円以上に上る見通しだ。同社には1千人以上の支店長経験者がおり、今後、請求が相次げば、請求総額は数十億円に達する可能性もある。
20代の元支店長によると、06年1月から08年4月まで、労働基準法上、残業代が支払われない管理監督者扱いをされてきた。しかし、アルバイトに支払う残業代を節約するため、上司から「アルバイトを帰らせて支店長が残るように」と、たびたびメールや電話で指示され、月平均60〜80時間程度の残業をしてきた。
部下の採用や時給の引き上げなども支店長の裁量では決められず、上司の決裁が必要だった。月1回の支店長会議も、上司が経営方針を説明し、各支店長が業績を報告するだけで、元支店長は「とても経営に関与するような立場ではなく、『名ばかり管理職』だった」と主張する。
この2人以外にも複数の支店長経験者が残業代を請求する準備を進めているという。支援する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「突然の合意退職の申し入れで社員の不満もたまっており、廃業を契機に一気に未払い残業代の請求が広がる可能性が高い」と話す。今後、全国の支店長経験者らに未払い残業代の請求を呼びかけていく。
グッドウィルは「個別に判断し、法律上、支払う必要があれば支払う」(広報室)としている。
続いて、MONEYZINE、廃業するグッドウィル社員の平均年収公開 派遣業界各社を「粗利」で比較より。
廃業するグッドウィル社員の平均年収公開 派遣業界各社を「粗利」で比較
第10回ビジネスリサーチ・ジャパン[著] 公開:2008年07月10日 09:00
グッドウィルは7月末をメドに廃業する。これにより正社員1974人、平均年収1750万円の取締役も職場を失うことになる。廃業するグッドウィル社員の平均年収の公開、そして業界高水準の同社の粗利が意味するものを明らかにしたい。
* 平均年収1750万円の取締役も職場を失うことに…
(中略)
ところで、軽作業に特化した請負業を事業目的に1995年にスタート、その後、グッドウィル・ヒュー・マネジメント(旧ヒュー・マネジメント・ジャパン)を吸収合併するなどして、いわゆる日雇い派遣で最大手に登りつめたのがグッドウィルだ。登録スタッフは274万人。売上規模は約1400億円を誇っていた。
今回の廃業で、平均年収338.7万円(平均年齢29.7歳、平均勤続年数2.4年)の正社員1974人、平均年収1750万円の取締役も職場を失うことになる(グッドウィルの数値はすべて07年6月期決算)。
ワーキングプア問題に絡んでクローズアップされる派遣者はもとより、人材サービス会社の正社員の収入を、その構図を含めて確認しておこう。
きわめて単純にいえば、人材サービス会社は、派遣先企業から得た収入からある程度の割合を差し引いた金額を派遣者に支払うことで会社を運営する。入りと出の差額で会社は成り立つわけだ。
次にもしグッドウィルが、1人1時間当たり1000円の時給で派遣先企業と契約していたとしたら、派遣者には1000円のうちいくら支払われていたか見てみよう。
* 1000円の内訳は、派遣者に664円、会社側に336円
グッドウィルの場合は、登録者274万人のうち毎日2、3万人程度が実際に働き、会社に年間で1384億円の収入をもたらしていたことになる。そのうち、派遣者に支払われる賃金などは「売上原価」として計上され、その額は920億円だった。
売上に対する売上原価の割合は66.4%――。
つまり、グッドウィルと派遣先企業が1人1時間当たり1000円の時給で契約していたとしたら、派遣者には664円が支払われ、会社側には336円残ったという計算になるわけだ。
売上原価には派遣者の交通費や福利厚生費なども含まれることが多く、派遣者の実際の取り分はこの売上原価の比率よりは低くなる。
グッドウィルでは「データ装備費」という名目で差し引いていたことが問題になったが、派遣者に実際に支払われる賃金に相当するのは「労務費」。グッドウィルの場合は845億円で、売上高に対する割合でいえば、売上原価からさらに5%低い61.0%だった。
いずれにしても、売上原価が低ければ低いほど、逆にいえば売上総利益(粗利)が高ければ高いほど、派遣先から支払われるそれと派遣者に実際に手渡される金額に格差があるということ。会社の取り分が多いというわけだ。
* グッドウィル・グループの取締役平均年収は2900万円
一方で、人材サービス会社の正社員や役員に対する給与などは、粗利を原資とする「販売費及び一般管理費(販管費)」から支給されることになる。
グッドウィルが計上していたのは「給与諸手当159億円」「退職給付引当金繰入額2127万円」「法定福利費15億円」など総額175億円。取締役報酬は6人に総額で1億500万円(その他監査役1人に2000万円)。その結果が、従業員338万円、取締役1750万円の平均年収だったのだ。
ちなみに、グッドウィルの親会社であるグッドウィル・グループはさすがに子会社より高給で、従業員平均年収が502.8万円、取締役平均年収は2900万円。日雇い派遣者は、グッドウィルを通して親会社にも貢献していた構図である。
(後略)
ちなみに、同じMONEYZINE、【給料】その差480倍!グッドウィル折口会長と登録派遣の「収入格差」の現実をみると、折口会長は役員報酬の他に約11億円超の配当(いずれも関連会社分も含む)を得ていたと推定されている。「派遣の収入が月20万円で年240万円と仮定とすると、折口会長とはなんと480倍以上の格差が生じる計算になる。」と同記事は指摘している。
ピンハネ率約4割+正社員に対しても「名ばかり管理職」で残業代未払い=創業者らの高収入、という図式になる。金儲けのためなら何でもありという姿勢が目に余る。グッドウィルは違法労働行為のデパートとしか言えない。