長寿医療制度に関する配信記事(続報)

 長寿医療制度に関する配信記事が増えてきた。


 愛媛新聞のコラム地軸、「長寿医療制度」より。

コラム地軸2008年04月03日(木)付 愛媛新聞
長寿医療制度


 作家の井上ひさしさんは、本名を「廈」と書く。あまりに誤読されるので、一時やたらとペンネームを変えたという(「改名は三文の得」)▲
 原公林(原稿早し)から来た林原公一(はやしばらこういち)。原稿直しは風の早さ、と風早直志(かざはやなおし)。果てはクィックリー井上。「遅筆堂」を名乗る井上さんには淡くも切実な願望だったろう。そういえば以前、知り合いの演劇人が、初演間近なのに脚本が届かないと頭を抱えていた。名は体を表すとはいえ、さすがに名さえ変えれば体もと都合よくはいかぬようだ▲
 井上さんも誰よりそれをわかっていて、改名を考えるたび英哲学者の教えが頭をかすめ、ためらったとか。「正しい言葉には必ずそれに対応した存在がある」と。作家なら値打ちを決めるのは脱稿の早さより名前より、書いた中身。これもほかならぬ井上さん自身の実践だ▲
 始まったばかりの後期高齢者医療制度を通称「長寿医療制度」にする。福田康夫首相がそう指示した。人生の残り時間を思わせる冷たい響きの「後期」の枠に七十五歳以上を押し込め、保険料滞納には厳しい。噴き出す悲鳴への答えが安直な看板のかけかえとは▲
 ホワイトカラーエグゼンプションは、残業代ゼロ法案の別称が実態を広く知らせた。一方で、治安維持法を想起させる共謀罪をテロ等謀議罪に言い変える動きには、退却を転進と強弁して真実を覆い隠したかつてが重なる。「長寿医療制度」がどちらかは自明だろう▲
 西洋の格言はいう?真実の言葉はつねに装飾のない単純なものである。


 産經新聞福田首相の突然の指示で現場混乱 “制度名”を変更より。

福田首相の突然の指示で現場混乱 “制度名”を変更
2008.4.2 21:30


 75歳以上を対象とする「後期高齢者医療制度」の名称が福田康夫首相の指示で突如「長寿医療制度」に変更されたことについて、2日の与党社会保障政策会議では「長寿医療制度といわれても、何を意味するのかすぐに分からない」などの批判が相次いだ。また、同医療制度を運営する全国の広域連合からは「どちらの名称を使えばよいのか」といった問い合わせが厚生労働省に寄せられ、現場での混乱が広がっていることも明らかになった。
 与党社会保障政策会議には自民、公明両党の厚生関係議員の幹部らが出席。厚労省の水田邦雄保険局長が「『長寿医療制度』は愛称で、制度のPRをするためのものだ」と説明したが、出席者からは「大変重要な話を事前に十分な検討もなく決めるのはおかしい」などの批判が続出した。
 自民党鈴木俊一社会保障制度調査会長は会見で「与党は何も相談されていない。名称も含めて極めて不満だ。私は使わない」と批判。公明党福島豊社会保障制度調査会長も「名称問題だけでなく制度の意味を国民に理解してもらうことが肝要だ」と述べた。
 与党からの批判を受け、厚労省は全国の自治体などに「『長寿医療制度後期高齢者医療制度)』との記述にしていただきたい」との通知を出した。一方、首相は同日、首相官邸で記者団に「高齢者にとってよい制度だ。よいところを理解していただくようPRしなくてはいけない」と説明したが、与党内からも批判が出たことで新たな対応を求められそうだ。


 Jcastテレビウォッチより、 朝ズバッ!後期高齢者医療制度 問題なのは名前か中身か

◆ 朝ズバッ!
後期高齢者医療制度 問題なのは名前か中身か
2008/4/ 2


4月から始まったばかりの「後期高齢者医療制度」だが、「後期」ではまるで「末期」のようだなどと、名称に批判が続出。福田首相の指示により、「長寿医療制度」(仮称)などのニックネームをつけることが急遽決まったという。


この日ゲストの福島みずほ社民党党首が「言葉だけじゃなくて、内容も変えないと」とコメントすると、「まあ、小さな一歩なんでしょうね」と司会のみのもんた。「『長寿』は喜ばしい言葉ですから」と小さく評価した。


たしかにネーミングで印象は変わるが、名前と実物がかけ離れていると、悪い冗談にしかならない。「夢の島」がゴミの山だったように、これも「夢の制度」という感じではある。


文 ボンド柳生


 どの記事を読んでもあきれかえっている。明らかな政治的失策だろう。日銀総裁人事、道路特定財源見直し問題などで露呈した政権担当能力のなさをみる限り、首相就任後半年あまりで末期状態になったと考えるしかない。潔く早々に退陣すべきではないか。