長寿医療制度への名称変更に伴う混乱

 長寿医療制度への名称変更に伴う混乱が続いている。関係する記事検索を続ける。
 まずは、FNNフジネットワークニュース、1日から始まった「後期高齢者医療制度」に問い合わせ相次ぐ ネーミングに非難の声より。

1日から始まった「後期高齢者医療制度」に問い合わせ相次ぐ ネーミングに非難の声


1日から始まった「後期高齢者医療制度」は、保険料が年金から天引きされる75歳以上が加入する医療制度だが、ネーミングに「すぐにでもあの世に行くみたい」などと非難の声が上がっている。
4月1日からスタートした「後期高齢者医療制度」で、全国から問い合わせが殺到している。
問い合わせに来た人は「全然わかりませんでした」、「説明がなんていうか、不十分ですな。事前のね」などと話した。
75歳以上のお年寄りが加入する新たな医療制度で、保険料が年金から天引きされる。
ところが、この制度のあるところに非難の声が上がっている。
75歳の女性は「憤慨してますの」、「いかにもね、すぐにでもあの世に行くみたいでしょ」、「後期高齢者っていうのは、『うば捨て山』っていう意味だって皆さん言ってます」などと話した。
後期高齢者」というネーミングに「後期の次は末期か」などと、不満の声が上がっている。
そこで、舛添厚労相は「総理がですね、事務方をお呼びになって、非常にこれはネーミングの問題で、『自分は、長寿医療制度がいいんじゃないか』ってことをおっしゃったんですね」と述べた。
スタート初日、福田首相は「後期高齢者医療制度」の通称を「長寿医療制度」ではどうかという、異例の指示を出した。
新制度のPRに、これまで使われてきた税金は、実に2億6,000万円以上にのぼる。
舛添厚労相は「『長寿医療制度』はおかしいのではないか、という声が与党から出ているが?」との質問に、「(与党の議員が)名称について、いろいろおっしゃる暇があれば、この制度の持っている意味であるとか、なぜ与党であれだけの議論をして、この法律を成立させたか、そのことをもっと国民に説得すべきでしょう。わたしはやってますよ」、「ネーミングにこだわって、どうだっていうことよりも、中身ですよ」と述べた。
長寿医療制度」という呼び方について、64歳の女性は「評判悪いから、あわててこっち(長寿医療制度)にするって感じでしょ」と話した。
また、78歳の男性は「(『長寿』って呼び方は?)逆に考えれば『長生きしてください』。おれはこれいいと思うよ、これ」と話した。
さらに、81歳の女性は「『後期』より、まだ『長寿』の方がいいかしら」と話した。
舛添厚労相は5日、名称の使い分けなどについて会議を行うという。


 名称を変更すれば高齢者は納得するのではないかというニュアンスで記事が書かれている。


 続いて、毎日新聞地方版、医療制度:「後期高齢者」→「長寿」に呼称変更 2通りあるの?戸惑いの声 /宮城より。

医療制度:「後期高齢者」→「長寿」に呼称変更 2通りあるの?戸惑いの声 /宮城


 後期高齢者医療制度が今月から始まり、県人口の1割強に当たる約25万4000人に年平均5万6559円の保険料納付が義務付けられる。同制度を巡っては福田康夫首相が施行当日の1日、「ネーミングが良くない」として呼称を「長寿医療制度」に変え周知不足を解消するよう指示。突然の呼称変更に、県の担当者からは「別の制度があるように思われかねない」と戸惑いの声も上がっている。【青木純】


 同制度は高齢者の医療費のうち、高齢者自身の負担分を明確にするため従来の老人保健制度に代わって導入された。対象者は75歳以上の人全員で、宮城では原則として所得の7・14%に3万8760円を足した金額が年間の保険料となる。納付された保険料によって、自己負担分を除いた医療費の1割が賄われる。


 事務処理を担当するため36市町村で構成した「県後期高齢者医療広域連合」には、制度が施行された1日から問い合わせの電話が殺到。同連合によると、市町村発送の徴収額通知を受け取った人からの「なぜこの金額なのか」「どうやって支払うのか」といった質問が多いという。


 一方、「後期高齢者」との呼称に対しては、福田首相が変更を指示する前まで「高齢者の『後ろ』とされるのはうれしくない」「まるで『後がない』と言われているようだ」との不満の声も数件寄せられていた。同連合は「不満は理解できる。これから印刷するパンフレットでは両方を併記する予定」としている。


 ただ、突然の呼称変更で、被保険者に誤解を招きかねないと懸念する声も。施行前から県内全戸にパンフレットを配布し、県広報誌でも制度を紹介してきた県国保医療課は「突然の指示でびっくりした。『後期高齢者医療制度』と『長寿医療制度』の2通りの制度があるように誤解される恐れもある」とする。


 同制度の保険料は基本的に、被保険者の年金から天引きされる形で納められる。早ければ4月15日に支給される年金から天引きが始まるため、同課は「年金の手取り金額が減って初めて、制度施行に気が付く人もいると思う。制度への理解を深めてもらえるよう、周知に力を入れていきたい」としている。

毎日新聞 2008年4月4日 地方版


 年金天引きが始まる4月15日が確かに混乱のヤマ場になるだろう。同じ毎日新聞地方版、長寿医療制度:問い合わせ、1日に1400件 /福岡より。

長寿医療制度:問い合わせ、1日に1400件 /福岡


 北九州市保険年金課は2日、長寿医療制度に関する市民からの問い合わせ状況を公表した。3月31日までの10日間に、同課や各区役所に1日約1400件の問い合わせが寄せられたという。


 「保険証が届かない」「保険証の材質が薄い」「料金通知はいつ届くのか」との内容が多く、制度そのものの中止を求めるような意見は少ないという。


 一方、同課は2日、年金から保険料を天引きする市内の対象者約7万2000人への料金仮賦課の通知を発送したため、今後は料金に関する問い合わせが増えると予想している。


〔北九州版〕

毎日新聞 2008年4月3日 地方版

 東北と違って、九州の毎日新聞は流行に乗り遅れまいという気分が強いようだ。あっさりと、長寿医療制度という言葉に切り替えている。それにしても1日約1400件という数字はすごい。4月15日には万を超える問い合わせが殺到しそうである。


 最後に、名称変更に伴う自民党内の内紛について、長寿医療制度:呼び名変えた舛添氏に厚生族激怒より。

長寿医療制度:呼び名変えた舛添氏に厚生族激怒


 後期高齢者医療制度の呼び名を長寿医療制度と変えた問題などを巡り、舛添要一厚生労働相と、自民党厚生族の関係悪化が目立ってきた。3日には舛添氏が族議員への不満をテレビカメラの前で口にするなど抜き差しならぬ状態になりつつある。


 「名称をいろいろおっしゃる暇があれば、制度の意味を国民に説得すべきでしょ。私はやってますよ」


 3日、舛添氏は記者団にそう言って族議員批判を展開した。厚生族の頭越しに、医療制度の呼び名を変えた厚労相に対し、自民党鈴木俊一社会保障制度調査会長が2日、「私はそんな名称は使わない」と激怒したことへの反論だ。


 元々族議員は「スタンドプレーばかりだ」と舛添氏への不満を募らせていたが、2月27日、舛添氏が厚労省職員に「族議員に働きかけ、大臣に政策変更を迫ることは許されない」と厚生族との決別を訓示したことで、溝が深まった。族議員は舛添氏攻撃の「材料」に医療制度の呼び名の変更を使ったようだ。


 舛添氏は、従来の大臣とは違う姿勢を示し、国民の支持を取り付ける狙いがあるとみられるが、両者の板ばさみとなる同省幹部は「やりにくい」とこぼしている。【吉田啓志】

 後期高齢者医療制度施行後、まだ4日目である。表面的には名称問題に関する軋轢だが、その根底には制度自体の欠陥がある。混乱は当分収まりそうもない。