記憶障害のケア−患者さんと家族のためのガイド−

記憶障害のケア―患者さんと家族のためのガイド

記憶障害のケア―患者さんと家族のためのガイド


 高次脳機能障害、特に記憶障害のケアに関する入門書である。患者さんと家族のためのガイドという副題からもわかるように、初心者にも比較的わかりやすく説明されている。
 記憶障害へのアプローチとしては、1)環境調整、2)学習法の改善、3)代償手段の利用などがある。具体的には、下記のような方法が試みられる。


1)環境調整: 記憶障害のある方に話しかける場合には、自分の名前や役割を名乗る、話題やテーマを具体的に伝える、折に触れて繰り返す、何かを伝える時には、必ず紙に書いて目につく場所に貼る。


2)学習法の改善: 誤りをさせない学習法(エラーレス学習)が注目されている。記憶障害者は、いったん間違えると誤反応が残り、修正が難しい。試行錯誤を避け、間違いをさせないように周到に計画した上で学習をさせる。「私の名前を覚えていますか?覚えていない?じゃあ、当ててみて?」などといった質問の仕方を避ける。確信を持って答えられるものから少しずつ増やしていく。


3)代償手段の利用: 日記やメモ、カレンダー、手帳などを使う。


 昨日のエントリーでも示したように、高次脳機能障害の医学的リハビリテーションに関しては、最近になってやっと系統だてて取り組まれ始めたばかりである。高次脳機能障害支援センターが各地で設置され始めている。一般的なリハビリテーション医療現場でも試行錯誤をしているところである。


 クモ膜下出血や頭部外傷に伴う高次脳機能障害は、時間が経ってからゆっくりと良くなっていくという印象を持つ。しかし、疾患別リハビリテーション料標準日数問題(算定日数上限問題)もあり、訓練効果があがる前にリハビリテーションが打ち切られているのではという危惧を抱いている。毎月の変化を追うことも難しく、レセプトコメント記載にも苦労する。診療報酬において、高次脳機能障害の特徴をふまえた配慮が欲しいと常に思っている。