2008年度診療報酬改定実施まであと1週間

 地方会、地域連携クリティカルパスに関する会議が次々と行われ、日頃お世話になっている医療機関と情報交換を行う機会が増えている。東北地方はのんびりしているせいか、今回の診療報酬改定の危険性に気づいていない医師が多い。厚労省の文章は、実に分かりにくく、煙幕が張られている。そのため、施行の段階になってやっと重要性がわかることになる。


 回復期リハビリテーション病棟入院料Iの在宅復帰率には、老健が含まれていないこと、分母に病棟間移動も含まれることなどは知られていない。自らの医療機関は大丈夫と楽観視している病院が多い。実際にデータをとってみて初めて在宅復帰率6割以下という条件が如何に厳しいかに気づかされることになる。


 地域連携クリティカルパス実施の際、計画管理病院の評価が、連携先病院の転院時データになることも知られていない。そもそも、連携パスの要件に入ったこと自体が周知徹底されていない。「日常生活機能評価」などという評価指標があることや、それがハイケアユニット用看護必要度B得点と全く同じであること、評価にあたっては院内研修を行うことが望ましいとされていることなどを説明すると唖然とされる。


 2008年度診療報酬改定実施まであと1週間。今後、疑義解釈などで細かな点が明らかになっていくだろうが、大枠は定まった。医療機関としての生き残り策に関しては、手を打った。重症ないし家族介護力がない方が回復期リハビリテーション病棟での集中的リハビリテーションを受ける機会を逸しないようにするための準備もした。後は実行するのみである。しかし、生き残り策に汲々とするだけではつまらない。


 そもそも、医療費総枠を増やさず、財政中立の視点で診療報酬を決定するというやり方に無理が生じている。来るべき高齢社会に前向きに対応していくための準備をするためには、政府自身が医療費抑制の呪縛から解放される必要がある。多くの医師たちが声を上げ始めている。リハビリテーション医療の現場からも情報発信を続けていきたい。