リハビリテーション評価データブック

 昨年秋の東北地方会で、兵庫医大道免和久先生にCI療法に関する教育講演をしていただいた。その時に次のような内容の指摘がされた。
 リハビリテーションの代表的指標であるADL評価では、脳卒中患者の上肢機能改善は測定できない。目的に応じて臨床指標を使い分ける姿勢が求められる。しかし、リハビリテーション評価に用いられる評価法はあまりにも多い。そこで、リハビリテーション臨床指標に関わる医書を企画した。
 発売を期待して待っていたところ、日本リハビリテーション医学会の書籍コーナーにあり、早速購入をした。

リハビリテーション評価データブック

リハビリテーション評価データブック


 リハビリテーション評価に関する書籍としては、これまでもいくつか世に出ている。本書が、類書と比べて売りとする特徴は次の2つである。


 何でも書いてあるがサイズは小さい、という欲張りな本である。B6サイズで600ページなので、やや嵩張る。次のような場面で特に有用である。

  • 論文を読む
  • カンファレンス時の参考にする
  • 関連診療科からの診療情報提供書内容を理解する

 英文文献を読む時、日本では使用されていない評価法が用いられていることが多い。その場合に辞書代わりに使用できる。また、高次脳機能障害評価時に、STやOTが様々な評価法を併用して報告するが、曖昧な記憶を探る手助けとなる。脳神経外科神経内科、整形外科、リウマチ科などで当たり前のように使っている指標や略語を本書で調べることができる。


 修正希望がいくつかある。
 修正版の評価法が隣接していない。例えば、Barthel Index(463ページ)とmodified Barthel Index(469ページ)は別のページにある。これは、巻末の評価法INDEXでも同様である。Barthel Indexの関連項目には、機能的自立度評価法があるが、modified Barthel Indexは上げられていない。
 厚生労働省などが作成した評価法は、別項を立ててまとめて記載した方が良い。いつの間にか評価様式が変更されてしまうことがある。例えば、日常生活機能評価(509ページ)は20点満点となっているが、2008年度診療報酬改定施行直前に19点満点に変更されてしまっている。


 本書が、多くのリハビリテーション関係者に利用されるようになると予測する。リハビリテーション専門職の学校の授業でも紹介することにしたい。