回復期リハビリテーション病棟入院料1、2で重症患者割合4割へ

 2022年度診療報酬改定の中医協答申がでた。中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) |厚生労働省の第516回(2022年2月9日)資料総-1(PDF:4,287KB)に個別改定項目についてがある。また、総-2別紙1-1(PDF:5,107KB)に医科診療報酬点数表がある。

 今回は、下記エントリーにおいて取り上げた回復期リハビリテーション入院料重症患者割合の見直しについてまとめる。

 

 

 総-1(PDF:4,287KB)、77〜87ページに回復期リハビリテーション入院料に関係する改定項目がある。

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 回復期リハビリテーション入院料5が削除され、入院料6にまとめられている。入院料5を算定した病棟にとっては引き下げとなる。

 

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 重症患者割合が入院料1、2で3割から4割へ、入院料3、4で2割から3割へと引き上げられている。要件は厳しくなったが診療報酬は据え置きである。

 

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 努力規定ではあるが、入院料1、3で日本医療機能評価機構等が行う第三者評価を受けていることが望ましいとなった。

 

 その他、「回復期リハビリテーションを要する状態」について「急性心筋梗塞狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」を追加され、算定上限日数を 90 日以内となった。

 また、2022年3月 31 日をもって廃止予定であった特定機能病院における回復期リハビリテーション病棟入院料が、特定機能病院リハビリテーション病棟入院料として存続することになった。診療報酬点数は回復期リハビリテーション入院料1と同水準であるが、重症患者割合が5割と厳しく、かつ、当分の間は、2022年3月 31 日において現に回復期リハビリテーション病棟入院料に係る届出を行っているものに限る、となっている。

 

 今回は、回復期リハビリテーション入院料に関しては、重症患者割合以外は大きな改定はなかった。しかし、重症患者割合を達成できない病棟にとっては低い基準に移行せざるを得ず、なんとか要件をクリアしたとしても診療報酬据え置きというきわめて厳しい内容である。回復期リハビリテーション病棟の運営は年々難しくなってきている。

 

回復期リハビリテーション病棟入院料における重症患者割合の見直し

 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) |厚生労働省が行われ、2022年度診療報酬改定の概要が明らかになってきた。第514回総会(2022年1月28日)資料、個別改訂項目(その2)について 総-5(PDF:381KB)の75〜85ページが、回復期リハビリテーション病棟に関わる部分である。具体的な内容は以下のとおりである。

 

<回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系及び要件の見直し>

1.回復期リハビリテーション病棟入院料5を廃止し、現行の回復期リハビリテーション病棟入院料6を新たな回復期リハビリテーション病棟入院料5として位置付ける。(経過措置あり)

2.回復期リハビリテーション病棟入院料1から4までに係る施設基準における重症患者の割合を見直し、回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2については●●割以上、回復期リハビリテーション病棟入院料3及び4については●●割以上とする。

3.回復期リハビリテーション病棟入院料1又は3について、公益財団法人日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けていることが望ましいこととする。

 

<回復期リハビリテーションを要する状態の見直し>

・「回復期リハビリテーションを要する状態」について「急性心筋梗塞狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」を追加し、算定上限日数を●●日以内とする。(心大血管疾患リハビリテーション料に係る届け出を行っている保険診療機関が対象)

 

<特定機能病院においてリハビリテーションを担う病棟の評価の新設>

・令和4年3月 31 日をもって廃止予定であった特定機能病院における回復期リハビリテーション病棟入院料について、現に届出がなされている特定機能病院の病棟において一定程度の役割を果たしていることが確認されることから、特定機能病院におけるリハビリテーションに係る役割を明確化することとし、「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料」と位置付け、当該入院料に係る施設基準を見直す。(当分の間は、令和4年3月 31 日において現に回復期リハビリテーション病棟入院料に係る届出を行っているものに限る)

 

 上記改訂中、回復期リハビリテーション病棟入院料5、6はそもそも施設数が少ないため、統合されたと考えても良い。また、日本医療機能評価認定医療機関は、回復期リハビリテーション病棟協会の回復期リハビリテーション病棟の現状と課題に関する調査報告書(2020年版)では有効853病院中計47%しかなかった(参照:実態調査報告書|一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会)が、現時点ではまだ努力規定にとどまっているので影響は小さい。心大血管疾患リハビリテーション料を算定している医療機関で、急性心筋梗塞を回復期リハビリテーション病棟対象疾患に含めるのは妥当であり、特定機能病院リハビリテーション病棟入院料創設は現状追認である。

 以上のことを考えると、今回の診療報酬改定において、回復期リハビリテーション病棟を抱える一般病院において問題となるのは、重症患者割合の見直しのみとなる。

 

 中医協では、中央社会保険医療協議会 (中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会))|厚生労働省、第4回(2022年7月8日)資料で検討後、中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会)|厚生労働省、第205回(2022年9月22日)資料論議され、最後に中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) |厚生労働省、第489回(2022年9月22日)資料で報告という流れになっている。明確に重症患者割合の見直しに影響を与えたデータはないが、関連資料としては以下のものがある。中医協総会資料、総-2-2(PDF:16,913KB)より引用する。

 

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 回復期リハビリテーション病棟入院料におけるアウトカム指標の達成度を見たグラフである。難易度は、実績指数>重症患者割合>在宅復帰率>重症患者回復割合の順となっている。今回は実績指数には手をつけず、次に達成が難しい重症患者割合を変更し、入院料1および2算定病床数を調整しようと意図が働いたと推測する。

 

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 FIMを用いた場合、重症患者の定義はFIM総得点55点以下となる。一方、本グラフはFIM運動項目得点であり、参考にしかならない。FIM運動項目40点程度が総得点55点前後と粗く見積もると、入院料1、2では40〜50%が重症患者と推定する。

 上記グラフから読みとる限り、入院料1、2で重症患者割合が30%から40%へ、入院料3、4で同20%から30%へとそれぞれ引き上げられるのではないかと予測する。重症患者を獲得するために最も簡便な方策は発症後より早期に患者を受け入れることである。回復期リハビリテーション病棟において状態が不安定な患者への対応がより一層求められるようになってきている。

 

ユニチャーム、ブルボンもマスクJIS適合番号を取得

 アイリスオーヤマに続いて、ユニチャーム、ブルボンもマスクJIS適合番号を取得した。

 

 

 ユニチャーム、ブルボンいずれも現在流通している製品と性能は同じということであり、JIS適合マークがついていない商品でも安心して購入できる。

 しかし、お菓子メーカーのブルボンがマスクを販売していることを初めて知った。ついこの間、ボールベアリング会社であるミネベアツミの記事を読んだばかりだったが、いずれも自社従業員用に製造していたマスクを社会貢献のために販売するようになったという点は同じである。日本の製造業の底力を見る。

 

 シャープもより高性能マスクを販売開始した。


 国内マスクメーカーは、異業種参入で活況を呈している。特に高性能マスク分野で競争が激しくなってきている。安定供給の意味でも、選択肢が増えることは誠に喜ばしい。店頭でマスクの品定めをする場合、これからはJIS適合マークをチェックするということが賢い消費者の心得になりそうである。 

JIS適合マスクの販売開始

 2021年9月2日、アイリスオーヤマよりJIS適合マスクの販売が開始された。

 

 2020年3〜4月、COVID-19感染拡大に伴い、全国的にマスク不足が生じた。多数の粗悪品が市場に出回るなか、自衛のために全国マスク工業会・会員マーク(一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 | マスク)を確認しながらマスクを購入するようになった。

 

 マスクの安全性に対する関心が高まっていることを受け、2021年6月16日、経済産業省はマスクのJIS企画が制定されたことを発表した。

マスクは、新型コロナウィルス(COVID-19)感染が続く現在、すべての人々の必需品となっています。COVID-19の発生以来、需要の急増に伴う海外からの輸入の急増、マスクメーカ以外の事業者による布製マスクの製造・販売などマスク市場も拡大・多様化していますが、日本にはマスクに対する公的な規格・基準は整備されていませんでした。そこで、試験方法の標準化を図り、一定の性能要件以上のマスクを国内で流通させる観点から、JISを制定しました。
本JISの制定により、一定の性能基準を満たしたマスクが製造・販売され、消費者や医療従事者の安心・安全の確保につながることが期待されます。

 

 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 | 自主基準・知識を見ると、マスクの自主基準はJIS準備の為工事中となっており、JIS基準は全国マスク工業会自主基準の上位互換として置き換わる途中であることがわかる。私が愛用するユニ・チャームマスク 超立体®マスクと超快適®マスク(プリーツタイプ)でかぜ・花粉・PM2.5対策を!- マスク - ユニ・チャームもJIS企画認証を目指している。

 

 感染症対策の観点からも、自国で必要な衛生材料を安定して生産できるようにすべきである。安価な輸入品に負けないように、国産のマスク製造メーカーには頑張って欲しい。そのためにも、消費者が賢明になり、品質の高いJIS適合マスクを確認の上購入することが習慣になって欲しいと思っている。

ユニバーサルデザインタクシーの次期目標は総車両数の約25%

 ユニバーサルデザインタクシーに関する記事が2件続けてあった。

 

 前者は、電動車いす利用者の乗車をユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)運転手が断った事例である。後者は、UDタクシーは一般タクシーと同様の料金設定にしなければならないにも関わらず、車いす利用者の乗降に追加料金を設定していた事例である。

 

 福祉タクシーとUDタクシーは基本的には異なる概念である。自動車:福祉タクシー - 国土交通省では、福祉タクシーを次のように定義している。

福祉タクシーとは、道路運送法第3条に掲げる一般乗用旅客自動車運送事業を営む者であって、一般タクシー事業者が福祉自動車を使用して行う運送や、障害者等の運送に業務の範囲を限定した許可を受けたタクシー事業者が行う運送のことをいう。

 介護保険法に基づく訪問介護のなかに、通院等のための乗車又は降車の介助がある。いわゆる介護タクシー利用において、この訪問介護点数と運賃が合算されて請求される。介護保険を使用しない福祉輸送サービスや民間救急搬送も、福祉タクシーに含まれる。

 

 一方、UD(ユニバーサルデザイン)タクシーはみんなにやさしい次世代のタクシーですをみると、UDタクシーは次のように定義されている。

ユニバーサルデザインタクシーとは、健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすい"みんなにやさしい新しいタクシー車両"であり、街中で呼び止めても良し予約しても良しの誰もが普通に使える一般のタクシーです。
※運賃料金は一般のタクシーと同じです。 

 UDタクシーは、介護が必要な者だけが利用するものではない。健康な人を含め誰もが利用してかまわないものであるという概念に基づく。ノンステップバスのタクシー版と考えた方がわかりやすい。

 

 冒頭に示した記事を読み直すと、UDタクシーの概念自体をタクシー会社や運転手が理解していなかったことが問題視されたことがわかる。そもそもUDタクシーは電動車いすの重量に耐えられるような設計が要件となっているので、電動車いすユーザーであるこを理由として断ることは間違っている。また、誰もが利用できることが要件となっていることを考えると、乗客の属性によって料金を変更してはならない。したがって、健康だからという理由でUDタクシー利用を断ることも問題となる。

 

  バリアフリー:公共交通移動等円滑化実績報告 - 国土交通省に、UDタクシーを含む福祉タクシー数の推移が示されている。

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 令和元年度末で、37,064台の車両が導入されており、うち21,736台がUDタクシーとなっている。

 さらに、令和2年11月20日に公表された「バリアフリー法に基づく基本方針における次期目標について(最終とりまとめ)」では、それぞれの分野における2025年度末までの数値目標が提起されている。 

  「バリアフリー法に基づく基本方針における次期目標について(最終とりまとめ)」(概要)にある表をみると、福祉タクシー車両を約90,000台に増やし、各都道府県における総車両数の約25%についてユニバーサルデザインタクシーとすることが目標と記載されている。実に野心的である。

 街中で見かけるタクシーの4台に1台がUDタクシーになったとしたら、誰もが当たり前の存在として認識するようになる。車いすユーザーも気軽に外出できるようになる。

 

 東京パラリンピックがまもなく開催される。残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、パラリンピアンがUDタクシーを使って訪問する機会は失われてしまった。そもそも、本当にパラリンピックが安全に開催できるかどうかが疑問視されているような状況である。しかし、パラリンピック開催を目指し、バリアフリーユニバーサルデザインの普及が進んだことは間違いない。数少ない正の遺産といえる。

回復期とpost acute

 脳卒中治療ガイドライン 2009 | 日本脳卒中学会 - The Japan Stroke Society脳卒中リハビリテーションの流れでは、「発症直後から、急性期、回復期、維持期に渡って、一貫した流れでリハビリテーショ ンを行うことが勧められるが、時期の区分についての科学的な根拠はない(グレー ドC1)。」とされている。

 急性発症する疾患では、急性期acute、亜急性期subacute、慢性期chronicという流れで表現するのが一般的である。しかし、日本では、2000年度診療報酬改定において回復期リハビリテーション病棟入院料が導入された後、回復期という表現が頻用されるようになった。比較的長期にわたり医療保険を使用したリハビリテーションが提供できるようにという意味で、回復期という用語が生み出された経緯がある。一方、維持期ないし生活期リハビリテーションは、基本的に医療保険を使うべきではなく、介護保険などで行うこととする政策決定がなされた。回復期、維持期(生活期)は、学問的な用語というよりは医療政策用語といえる。

 このような事情もあり、一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会では、回復期リハビリテーション病棟に相当する英語の用語がないと判断し、自らの正式名称もKaihukuki Rehabilitation Ward Associationとしている。一方、日本医学会医学用語辞典では、回復期をconvalescentとしているが、convalescentとは"recovering from an illness of medical treatment"(治療後の回復途上)という状態を意味しており、時期を表現する用語としてはあまり適当とは思えない。

 回復期に相当する用語を探していたところ、最近、post acute(postacute、post-acute)という表現をしばしば目にするようになった。PubMedで検索してみると、acute、chronicほどではないが、post acute × rehabilitation 2,306件となり、convalescent × rehabilitation 1,534件よりは多くなっている。しかも、後者の著者名をみると日本発の論文が目立つのに対し、前者は日本以外のものがほとんどである。

 

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 台湾の論文、Post-Acute Care as a Key Component in a Healthcare System for Older Adultsの抄録を読むと、”Post-acute care aims to promote the functional recovery of older adults, prevent unnecessary hospital readmission, and avoid premature admission to a long-term care facility."という表現となっており、post-acuteが日本でいう回復期に相当するものとして表現されている。一方、米国の文献、Spatial association patterns between post-acute care services and acute care facilities in the United Statesでは、"We compiled data on CMS-certified acute care and critical access hospitals and post-acute health care services (nursing homes, home health care services, inpatient rehabilitation facilities, long-term care hospitals, and hospice facilities)"となっており、post-acuteが長期療養病院やホスピスまでを含む概念となっている。

 英語辞典をみると、acuteとchronicは対義語であり、subacuteは"between acute and chronic"となっている。一方、post acuteは、急性期治療後の比較的長い期間という意味で論文で用いられている。このような状況を考えると、post acuteが日本における回復期に最も近い概念ではないかという感触をもつ。少なくとも、convalescentよりは英語話者に通じやすいのではないかと考えている。

東京オリンピック・パラリンピックにおける医療スタッフ確保が難航

 東京オリンピックパラリンピックにおける医療スタッフ確保が難航している。 

 

 この件に関し調べていたところ、日本スポーツ協会のWEBページにスポーツドクターへの要請文がアップロードされていることを確認した。

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 「組織委員会からの要請もあり、本内容についてはメールの受信者のみご確認いただくこととし、情報の取扱いについてはご留意いただきたくご協力お願いいたします。※メールの転送や、SNS への掲載はご遠慮ください。」とあったので、誰でも閲覧できる状況なのにと思いつつ、内容に関し詳細な紹介は行わない。ほぼ報道内容に沿ったものである。

 

 東京五輪組織委員会からの医療スタッフ確保の要請に関しては、東京都医師会長も寝耳に水だったようで、「私はだいたい、いつも厳しい対応をするので、嫌われているのかもしれませんが、一切、相談はありません」と述べている。

 

 東京都が主催する大規模イベントにおける医療・救護計画ガイドライン 東京都福祉保健局では、「医療・救護計画の策定に際しては、都、東京消防庁、警視庁、東京都医師会、日本赤十字社医療機関区市町村のほか、多くの職能団体や当該イベント開催に関連する団体等が円滑に連携して対応することにより、安全で安心なイベント開催に向け万全を期することが必要です。」と記載されている。

 例えば、会場医療救護本部には、「指揮統括班」を1班、「医療救護班」を1班以上配置する体制を作り、それぞれの班の構成は、医師1名、看護師等2名を原則とし、観客数約1万席(人)に対し、1か所を設置することが望ましいとなっている。「指揮統括班」は、医療・救護体制全体に精通した救急科専門医師や東京DMATの登録医師等を配置することが望ましいとまで記載されている。

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 さらに、通常時及び非常時の医療ニーズへの対応等に備え、会場ごとの搬送先となる医療機関の指定や連絡体制等について、あらかじめ整備しておくことの重要性がガイドラインに記載されている。テロ、NBC災害(放射性物質、生物剤、化学剤により発生した災害)、雑踏事故、大規模地震、火災、熱中症に加え、感染症等への対応が求められ、後方医療機関の確保・連携が求められる。

 新型コロナウイルス感染拡大がおさまらず、急速に拡大している現状を踏まえると、医療スタッフ確保、および、後方医療機関の確保は非現実的である。もうこれ以上足を引っ張らないで欲しいと苦々しく感じている。オリンピックさえなければ、もう少しまともな対策が取れていたのではないかとさえ思っている。医療関係者の神経を逆なでする形で、この時期に東京オリンピックに対し医療スタッフ確保を迫る組織委員会および政府の無神経さには呆れるしかない。

 ボランティア辞退者も増えている。医療関係者のみならず、国民の協力も得られない状態である。東京五輪は組織運営が破綻しかけており、いつ頃中止を表明するのかという状況に追い込まれていると認識している。