亜急性期入院医療管理料の廃止と地域包括ケア病棟入院料の創設

 2014年度診療報酬改定の検討を続ける。今回は、亜急性期入院医療管理料の廃止と地域包括ケア病棟入院料の創設に関する改定を取り上げる。中央社会保険医療協議会 総会(第270回) 議事次第内にある、個別改定項目について(その1)総−4(PDF:2,099KB)、重点課題1-1-3、地域包括ケアを支援する病棟の評価(25〜27ページ)より引用する。

第1 基本的な考え方
 急性期後の受入をはじめとする地域包括ケアシステムを支える病棟の充実が求められていることから現在の亜急性期入院医療管理料を廃止した上で、新たな評価を新設する。


第2 具体的な内容
1.急性期後・回復期を担う病床を充実させるため、1)一定の重症度、医療・看護必要度基準を満たす患者の診療実績、2)在宅療養支援病院、二次救急病院又は救急告示病院等であること、3)在宅復帰率の実績、4)診療内容に関するデータの提出等の施設基準を設定した病棟等の評価を新設する。


(新) 地域包括ケア病棟入院料1   ○点(1 日につき)
(新) 地域包括ケア入院医療管理料1 ○点(1 日につき)
(新) 地域包括ケア病棟入院料2   ○点(1 日につき)
(新) 地域包括ケア入院医療管理料2 ○点(1 日につき)
(新) 看護職員配置加算   ○点(1 日につき)
(新) 看護補助者配置加算  ○点(1 日につき)
(新) 救急・在宅等支援病床初期加算 ○点(1日につき・14 日まで)


[算定要件]
 1 ) ○日を限度として算定する。
 2 ) 地域包括ケア入院医療管理料について、自院で直前にDPC/PDPSで算定していた患者が転床した場合は、特定入院期間中は引き続き DPC/PDPS で算定する。


[施設基準]
地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)1及び2
 1) 疾患別リハビリテーション又はがん患者リハビリテーションの届出を行っていること。
 2) 入院医療管理料は病室単位の評価とし、届出は許可病床○床未満の医療機関で○病棟に限る。
 3) 療養病床については、○病棟に限り届出することができる。
 4) 許可病床○床未満の医療機関にあっては、入院基本料の届出がなく、地域包括ケア病棟入院料のみの届出であっても差し支えない。
 5) 平成○年○月○日に10対1、13対1、15対1入院基本料を届け出ている病院は地域包括ケア病棟入院料を届け出ている期間中、7対1入院基本料を届け出ることはできない。
 6) 看護職員○対1以上、専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士○名以上及び専任の在宅復帰支援担当者○人以上が配置されていること。
 7) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度A項目○点以上の患者を○%以上入院させていること。
 8) 次のいずれかを満たすこと

  • ア 在宅療養支援病院の届出
  • イ 在宅療養後方支援病院(新設・後述)として年○件以上の在宅患者の受入実績があること
  • ウ 二次救急医療施設の指定を受けていること
  • エ 救急告示病院であること

 9) データ提出加算の届出を行っていること。
 10) リハビリテーションを提供する患者について、リハビリテーションを1日平均○単位以上提供していること。


地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)1
 1) 在宅復帰率が○割以上であること
 2) 1人あたりの居室面積が内法による測定で○m2以上であること。


看護職員配置加算
 1) 看護職員が地域包括ケア病棟入院料の施設基準の最小必要人数に加え、○対 1 以上の人数が配置されていること。
 2) 地域包括ケア入院医療管理料を算定する場合は、当該病室を含む病棟全体の看護職員が最小必要人数に加え、○対 1 以上の人数が配置されていること。


看護補助者配置加算
 1) 看護補助者(看護師を除く)が○対1以上配置されていること。
 2) 地域包括ケア入院医療管理料を算定する場合は、当該病室を含む病棟全体の看護補助者(看護師を除く)が○対 1 以上配置されていること。


[留意事項]
 1) 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)1及び2の施設基準9については、平成○年○月○日から適用するものとする。
 2) 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)1の施設基準2については、平成○年○月○日までに届出を行った医療機関にあっては、壁芯での測定でも差し支えない。
 3) 看護補助者配置加算については、平成○年○月○日までの間は必要人数の○割未満であれば看護師を看護補助者とみなしても差し支えない。


2.亜急性期入院医療管理料は平成○年○月○日をもって廃止する。


 簡単にまとめると、下記のようになる。

  • 亜急性期入院医療管理料が廃止となる。代わって、病棟単位の地域包括ケア病棟入院料と病室単位の地域包括ケア入院医療管理料が導入される。入院医療管理料の方は、許可病床○床未満の小規模病院が対象である。
  • 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)1は、在宅復帰率と病室面積が要件となる。
  • リハビリテーション専門職は専従要件となっている。一方、在宅復帰支援担当者は専任要件である。リハビリテーションは全ての患者に行うことは想定されていないが、行っている場合には単位数の要件がある。
  • 看護職員の基準がある。最小必要人数を超えて配置している場合には、加算がある。
  • 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度A項目の要件がある。
  • 在宅療養支援病院、二次救急病院又は救急告示病院が必要となる。
  • 救急・在宅等支援病床初期加算の要件は記載されていないので、条件は特にないと思われる。


 現在、病棟単位で亜急性期入院医療管理料を算定している場合には、地域包括ケア病棟入院料に移行することになる。また、厚労省は、診療報酬上の基準を厳しくし、7対1病棟などの急性期病棟を絞り込むという方針であり、地域包括ケア病棟入院料がその受け皿となる。移行を促す目的で、現行の亜急性期入院医療管理料よりは高い基準になるか、包括医療の部分を限定するか、どちらかの対応がとられると予想する。
 注目すべきは、総合入院体制加算の評価(14〜16ページ)の次の記載である。「地域包括ケア病棟入院料(新規・後述)、地域包括ケア入院医療管理料(新規・後述)および療養病棟入院基本料の届出を行っていない医療機関であること。」高度急性期ないし急性期医療機関において、在院日数短縮の目的で地域包括ケア病棟入院料を設けることに歯止めをかけようとしている。地域包括ケア病棟入院料は、中小病院が主な対象となっている。
 回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟入院料の棲み分けが問題となる。集中的にリハビリテーションを行う必要がある場合には回復期リハビリテーション病棟、リハビリテーションの効果が期待できず退院調整に重点を置く場合には地域包括ケア病棟入院料になると予測する。