高齢者向け住まいを選ぶ前に- 消費者向けガイドブック

 「−高齢者向け住まいを選ぶ前に−消費者向けガイドブック」の送付について」(平成24年10月1日)PDF(介護保険最新情報vol.300)が出された。

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 ガイドブックの1ページ、2ページ目に次のような図がある。


 高齢者向け住まいは、介護付有料老人ホーム、住宅型優良老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の3種類に集約されつつあることが、ガイドブックで明確に示されている。
 高齢社会が急速に進行するなかで、特養や老健以外の施設として、高齢者向け住まいがクローズアップされている。特に、地方よりは都市部での高齢化が深刻化するなかで、独居、夫婦2人暮らしなど介護力がない世帯が増えていることもあり、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の需要が急増している。住宅産業などの民間業者の参入が顕著である。
 1990年代から2000年代にかけては、民間医療機関を中心に、医療・保健・福祉複合体が作られ、医療機関介護保険施設、居宅サービスを含んだグループ形成が意識的に進められてきた。介護保険創設がこの流れを推進した。さらに、2000年代後半からは、高齢者向け住まいも手がける複合体が増加してきている。ただし、規制が介護保険施設と比べて緩やかなこともあり、内実は様々です。高所得者層を対象とした高額の有料老人ホームを建設した医療機関がある一方、生活保護世帯など低所得者層を対象に要介護度の高い高齢者を入居させ、自分たちのグループ内のサービスを限度額いっぱいまで利用する方式で収支を図るところもある。両者とも、利用者の権利が保護されているかどうかが問題となっている。このため、厚労省も本ガイドラインを示し、入居者が賢く高齢者向け住まいを選ぶものさしにしようとしている。
 悪貨が良貨を駆逐するようなことはあってはならない。金儲け主義の経営が、要介護高齢者を食い物にする事態を避けなければならない。リハビリテーション前置主義の立場から考えると、介護が必要となるものが十分なリハビリテーション医療を受け、さらに、在宅生活の場として適切な住まいを選べるようになることが望ましい。良かれと思って入居を勧めた高齢者向け住まいのなかで、まともなサービスを受けられずに寝たきりに近い状態となって再入院となった例を、私たちも数件経験している。リハビリテーション医療を提供する医療機関が、良心的な高齢者向け住まいを経営しているところを連携していくことが、今後いっそう求められる。同時に、可能な場合には、自らも高齢者向け住まいを展開しモデルケースを示すことも重要である。当院でも、震災時当院の外来棟が大破したが、その跡地に新病院建設することになったが、現病院を改修し、要医療者向けの高齢者向け住まいを整備する方向で検討が進んでいる。総合的なリハビリテーション展開を目指した新たな挑戦と考えている。