死因統計で肺炎が脳血管疾患を上回り第3位へ

 平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省が公表された。死因統計では、肺炎が脳卒中を上回り第3位となった。

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 概況(PDF:2,335KB)の10ページに次のような記載がある。

 平成 23 年の死亡数・死亡率(人口 10 万対)を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物で35 万 7185 人、283.1、第2位は心疾患 19 万 4761 人、154.4、第3位は肺炎 12 万 4652 人、98.8、第4位は脳血管疾患で、12 万 3784 人、98.1 となっている。


(中略)


 肺炎は昭和 50 年に不慮の事故にかわって第4位となり、上昇と低下を繰り返しながら上昇傾向を示してきたが、平成 23 年は脳血管疾患にかわり第3位となり、平成 23 年の全死亡者に占める割合は 9.9%となっている。
 脳血管疾患は、昭和 26 年に結核にかわって第1位となったが、昭和 45 年をピークに低下しはじめ、昭和 56 年には悪性新生物にかわり第2位となった。昭和 60 年には心疾患にかわって第3位となり、その後も死亡数・死亡率ともに低下傾向であったが、平成 23 年には、肺炎にかわり第4位となり、全死亡者に占める割合は 9.9%となっている。


 主な死因別にみた死亡率の年次推移を下図に示す。


 平成7年に死亡診断書の記載方法変更に伴い、一時的に心疾患が減り脳血管疾患が増加した。しかし、その後は脳血管疾患は一貫して減少傾向にあるのに対し、肺炎の上昇は続いていた。死因順位の逆転は数年前から予想されていたものである。最大の理由は高齢者の増加である。



 上図に示すように、高齢になるにつれ、肺炎で亡くなる方が増加する。「肺炎は高齢者の友」という言葉を裏づける結果である。


 さらに、死因別死亡率の年次推移を見ると、平成23年度において不慮の事故が急増しているのがわかる。表7 性別にみた死因順位別死亡数・死亡率(人口10万対)をみると、不慮の事故は、平成22年度の40,732名(人口10万対32.2)から、平成24年度59,596名(同47.2)となっている。さらに、第10表 主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対),都道府県(20大都市再掲)別をみると、宮城11,204(同484.0)、岩手6,160(同470.6)、福島2,570(同129.7)が突出している。東日本大震災の影響であることがわかる。気をつけてみると、平成7年のところにも小さなピークがあるが、阪神淡路大震災によるものである。
 ちなみに、図には載っていないが、老衰は45,342(同35.9)から52,207(同41.4)と着実に増加している。
 死因統計の推移をみると、今後の動向も予想できる。今後は3大死因という用語よりは、肺炎を含めた4大死因という言葉の方が適切となってくる。順位は悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管疾患である。平成24年度以降は、第5位老衰、第6位不慮の事故、第7位自殺という順番がしばらく続くと予測する。