維持期リハビリテーション、医療保険では次回改定まで
中央社会保険医療協議会 総会 (第221回) 平成24年2月10日(金)より、維持期リハビリテーションの見直しについて取り上げる。資料(総−1)(PDF:1331KB)の97〜99ページに関連資料がある。
第2 具体的な内容
1.現在、標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合においても、1月に 13 単位に限り疾患別リハビリテーションを算定できることとなっているが、要介護被保険者等に対する脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーションについては、これらを原則次回改定までとする。
【脳血管疾患等リハビリテーション料】注3
発症、手術又は急性増悪から180日を超えてリハビリテーションを行った場合は、1月13単位に限り算定できるものとする。ただし、要介護被保険者等については平成26年3月31日までに限る。
【運動器リハビリテーション料】注3
発症、手術又は急性増悪から150日を超えてリハビリテーションを行った場合は、1月13単位に限り算定できるものとする。ただし、要介護被保険者等については平成26年3月31日までに限る。
2.要介護被保険者等について、標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合の脳血管疾患リハビリテーション及び運動器リハビリテーションの評価を見直す。
【脳血管疾患等リハビリテーション料】(1単位につき)
要介護被保険者等であって標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合においては、下記の点数を算定する。
1 脳血管疾患等リハビリテーション料(I)
イ ロ以外の場合 221点(改)
ロ 廃用症候群の場合 212点(改)
2 脳血管疾患等リハビリテーション料(II)
イ ロ以外の場合 180点(改)
ロ 廃用症候群の場合 171点(改)
3 脳血管疾患等リハビリテーション料(III)
イ ロ以外の場合 90点(改)
ロ 廃用症候群の場合 90点(改)
【運動器リハビリテーション料】(1単位につき)
要介護被保険者等であって標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合においては、下記の点数を算定する。
1 運動器リハビリテーション料(I) 158点(改)
2 運動器リハビリテーション料(II) 149点(改)
3 運動器リハビリテーション料(III) 80点
今回の診療報酬、介護報酬改定では、介護保険におけるリハビリテーションを充実させたと厚労省は述べている。第88回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成24年1月25日、資料1−2平成24年度介護報酬改定の概要(PDF:675KB)を見ると、短時間型通所リハビリテーションに関しては、次のような改定がされている。
通所リハビリテーションの機能を明確化し、医療保険からの円滑な移行を促進するため、短時間の個別リハビリテーションの実施について重点的に評価を行うとともに、長時間のリハビリテーションについて評価を適正化する。
1)リハビリテーションの充実
医療保険から介護保険の円滑な移行及び生活期におけるリハビリテーションを充実させる観点から、リハビリテーションマネジメント加算や個別リハビリテーション実施加算の算定要件等について見直しを行う。
リハビリテーションマネジメント加算 ⇒ 算定要件の見直し
※算定要件(変更点のみ)
- 1 月につき、4回以上通所していること。
- 新たに利用する利用者について、利用開始後1月までの間に利用者の居宅を訪問し、居宅における利用者の日常生活の状況や家屋の環境を確認した上で、居宅での日常生活能力の維持・向上に資するリハビリテーション提供計画を策定すること。
個別リハビリテーション実施加算 ⇒ 算定要件の見直し(80 単位/回)※算定要件(変更点のみ)
- 所要時間1時間以上2時間未満の利用者について、1日に複数回算定できること。
また、短期集中リハビリテーション実施加算に含まれていた、個別リハビリテーションの実施に係る評価を切り分ける見直しを行う。
短期集中リハビリテーション実施加算
退院・退所後又は認定日から起算して 1月以内 280 単位/日 ⇒ 退院・退所後又は認定日から起算して 1月以内 120 単位/日
退院・退所後又は認定日から起算して 1月超3月以内 140 単位/日 ⇒ 退院・退所後又は認定日から起算して 1月超3月以内 60 単位/日
(注)短期集中リハビリテーション実施加算は、1 週間につき 40 分以上の個別リハビリテーション(退院後1月超の場合は、1 週間につき 20 分以上の個別リハビリテーション)を複数回実施した場合に算定する(変更なし)。
<追記> 2012年2月12日
コメントを読んで勘違いに気がつきました。これまで短期集中リハビリテーション実施加算には個別リハビリテーション加算が包括されていました。1月以内 280 単位/日の中には、個別リハビリテーション加算2単位分160単位、1月超3月以内 140 単位/日には、個別リハビリテーション加算1単位分80単位が含まれています。謹んで下記内容に変更させていただきます。
リハビリテーションマネジメント加算を取得しやすくすると同時に、所要時間1時間以上2時間未満の利用者について、1日に複数回算定できるようにする一方、短期集中リハビリテーション実施加算を減額している。(以下変更部分)リハビリテーションマネジメント加算が取得しやすくなった。短期集中リハビリテーション実施加算も条件となった個別リハビリテーション分が分離して請求できるようになった。(変更部分終わり)
しかし、個別リハビリテーション実施加算は20分1回あたり80単位に過ぎない。医療保険におけるリハビリテーション料より著しく低額である。要介護1の場合、介護報酬270単位(1日あたり)+個別リハビリテーション実施加算80単位×回数+短期集中リハビリテーション実施加算(1日あたり、起算日より3月まで)+リハビリテーションマネジメント加算(月あたり)+その他の加算となる。複数の従事者でより多くの介護報酬を稼ごうとすると、個別リハビリテーションの回数を増やすより、利用人数を増やした方が良いことになる。今回の介護報酬改定で個別リハビリテーション実施回数を複数回算定できるようにしたことは経営面ではメリットがない。ましてや、短期集中リハビリテーション実施加算減額は逆効果である。(以下変更部分)大きなメリットはない。(変更部分終わり)
診療報酬においても、介護報酬の短時間型通所リハビリテーションにおいても、維持期リハビリテーションを行うインセンティブはない。2006年度同時改定でリハビリテーション切捨てと強い批判を浴びたことを厚労省官僚は忘れてしまったようである。