北九州爪切り事件が最終決着

 北九州爪切り事件が最終決着した。

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 認知症の高齢者への爪切りケアを「虐待」とみなされ北九州八幡東病院(北九州市)を懲戒解雇された看護師上田里美さん(45)=同市八幡西区=が、病院を運営する特定医療法人「北九州病院」に地位確認などを求めた訴訟の弁論準備が18日、福岡地裁小倉支部(岡田健裁判長)であり、病院側が解雇を撤回、退職金を支払うことなどで和解が成立した。上田さんは傷害罪に問われたが、福岡高裁で逆転無罪が確定しており、これで爪切りケアをめぐる一連の問題は全て決着した。


(中略)


 代理人の東敦子弁護士は「捜査機関が間違ったストーリーを押しつけ、マスコミが世論を誘導することがどれほど恐ろしいかをこの事件が物語っている」と指摘。控訴審で爪切りケアを適切と証言した長崎修二医師(63)は「今回の問題は落着したが、教訓として医療現場の在り方を検証し続けなければいけない」と語った。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/274025


 本事件は、福島大野病院事件、杏林大わりばし事件など医師が被疑者となった事件と比べ、医師の関心は低い。一方、看護協会は自らの存在意義をかけて、全国的な支援活動を繰り広げてきた。日常ケアが虐待とされ、雇い主、司法機関、マスコミの集中砲火を浴びた。看護師にとって悪夢としかいえない事件である。もう少し、医療関係者は本事件に関心を払うべきと思う。
 ニュースを読んでも、解雇撤回、退職金支払い以外の条項は明らかにはされていない。慰謝料に相当する金額上乗せがあったと予想するが、上田看護師にとっては自らの名誉が完全回復されたことの方が重要なのだろう。
 それにしても、異常な報道を続けたことへの反省はマスコミにはあるのだろうか。西日本新聞は、代理人からのマスコミ批判について触れているが、他社の報道をみてもマスコミ批判は見事に無視されている。この種の事件が当初の見込みと違った展開を見せた時に、素知らぬふりで客観性を装って報道するだけで事足れりと思っているような気がしてならない。