フェルメール展、被災地宮城で開催

 http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/mmoa/ja/exhibition/20111027-s01-01.htmlを見に行った。




 当初、フェルメール展は、京都と東京のみの開催予定だった。宮城県美術館開館30周年記念をして、関係者の努力があり、東北地方初公開の準備が進んでいた。
 しかし、東日本大震災により状況は一変した。他の公共施設と同様、宮城県美術館も大震災後、長期間の休館を余儀なくされた。

◆ 東北地方太平洋沖地震による宮城県美術館の被害をお知らせします。(3/25)
 来館者、職員とも被害はありません。
 建物に被害はありません。
 展示中および収蔵庫内の所蔵作品と寄託作品に被害はありません。「アートみやぎ2011」に出品中だった椎名勇仁氏の粘土や素焼きの作品が一部落下し、損傷しました。
 作品を展示していなかった固定展示ケースのガラス2枚が破損、及び同ケースのサッシにひずみが発生しました。
 空調機器、電気系統、警報装置、エレベーター等、館内の設備に被害はありません。


◆ 開館予定について
 現在、復旧と安全確認のため休館しておりますが、5月上旬に一部開館の予定です。詳しくは決まり次第お知らせします。

http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/mmoa/ja/navigation/index.asp?url=../news/news-01.html


 佐藤忠良記念館が5月1日、本館が7月5日であったことを考えると、10月27日よりフェルメール展が無事開催されたことは奇跡的とも言える。主催者のひとつである河北新報の別刷り特集をみると、東日本大震災後、本展覧会を被災地である宮城県で行うべきかどうか議論があったことがわかる。フェルメール作品を貸し出した3つの美術館(アムステルダム国立美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、アイルランド・ナショナル・ギャラリー)からのメッセージが掲載されている。いずれも次のような内容が記載されている。

  • 日本には強い親近感を持っている。
  • 展覧会の巡回先である宮城県が被災を受けたことに心を痛めている。
  • 一方、借用先からの不安の声にも直面させられた。
  • 議論を積み重ねるなかで、危機的な状況でこそ、この展覧会を宮城県で実現させるべきと考えるようになった。動き出した当初よりもはるかに深い意味を持ち、重要な役割を担うようになったと自覚した。


 宮城県美術館はかなり混雑していた。被災地の中学生も招待されていた。本展覧会を開くために努力された関係各位に心から感謝したい。



 美術館裏手にあるアリスの庭は、紅葉真っ盛りだった。肌寒い雨が降りしきる中、少しずつ冬の足音が近づいていることを感じた。