脳卒中医療連携手帳の検討

 脳卒中急性期病院主催の医療連携に関する会議があった。中心課題は医療連携手帳作成だった。急性期病院と、回復期、開業医の連携を強めることが目標だった。様々な意見が出たため、持ち帰って検討を続けることになった。
 会議終了後に、手帳の内容についてあらためて考えた。記載負担を減らすため、チェック形式を主体にした案を検討してみた。


# 脳卒中の種類と再発予防について
* 脳卒中の種類
 □ 脳出血
 □ クモ膜下出血
 □ 脳梗塞
  □ ラクナ梗塞
  □ アテローム血栓性梗塞
  □ 心原塞栓性梗塞
 □ TIA
 □ その他の脳血管障害
 自由記載(部位など):


* 危険因子、併存疾患
 □ 高血圧
 □ 糖尿病
 □ 脂質異常症
 □ 慢性腎臓病
 □ 心房細動
 □ その他心臓病
 □ 喫煙
 □ 過度の飲酒
 □ メタボリックシンドローム
 □ その他の疾患
 自由記載:


* 薬剤
 □ ワーファリン □ プラザキサ
 □ アスピリン □ プラビックス □ プレタール □ その他抗血小板薬
 □ 降圧薬
 □ インスリン □ 経口血糖降下薬
 □ 脂質代謝


# 退院時の生活機能
 移動機能: □ 問題なし □ 自宅周辺歩行 □ 屋内歩行 □ ベッドサイド □ ベッド上
 認知機能: □ 問題なし □ 軽度障害 □ 重度障害
 言語機能: □ 問題なし □ 軽度障害 □ 重度障害


# 社会資源利用
 要介護認定: □ なし □ あり(要支援1・2、要介護1・2・3・4・5)
 身体障害者手帳: □ なし □ あり(肢体不自由、言語障害  級)


 ここまで見開き2〜4ページにまとめる。


# これからの診療予定
* 自宅退院( 年 月 日)
 かかりつけ医(医療機関      )
  月1回の検査: □ 糖尿病検査 □ PT-INR □ その他(     )
 リハビリテーション継続
  通院リハビリテーション: □ あり(医療機関      ) □ なし
  介護保険でのリハビリテーション(通所、訪問): □ あり □ なし
 急性期病院での定期検査
  MRI、CT、頸動脈エコー: □ あり □ なし


* 退院後6ヶ月( 年 月 日)
 かかりつけ医(医療機関      )
  定期検査: □ 血液検査 □ 胸部X線 □ 心電図 □ その他(     )
 リハビリテーション継続
  通院リハビリテーション: □ あり(医療機関      ) □ なし
  介護保険でのリハビリテーション(通所、訪問): □ あり □ なし
 急性期病院での定期検査
  MRI、CT、頸動脈エコー: □ あり □ なし


* 退院後1年6ヶ月( 年 月 日)
* 退院後2年( 年 月 日)
* 退院後3年( 年 月 日)
* 退院後4年( 年 月 日)
* 退院後5年( 年 月 日)
 以上のチェック項目は、退院後6ヶ月と同様。


 ここまでも見開き2〜6ページにまとめる。


# 退院後の状況
* 退院後6ヶ月( 年 月 日)
 危険因子の管理状況: □ 良好 □ やや不良 □ 不良
 生活機能の状況: □ 維持・改善 □ 悪化
 定期検査結果: □ 問題なし □ 問題あり
 チェック欄(経時的にフォローする項目を自由記載できるようにする)


 自由記載欄
  かかりつけ医からの連絡
  リハビリテーション担当者からの連絡
  急性期病院の連絡


 ここまで1ページにまとめる。以下同様。


* 退院後1年6ヶ月( 年 月 日)
* 退院後2年( 年 月 日)
* 退院後3年( 年 月 日)
* 退院後4年( 年 月 日)
* 退院後5年( 年 月 日)
 以上のチェック項目は、退院後6ヶ月と同様。


 
 危険因子の管理状況、生活機能の状況、定期検査結果が全て良好だったら、かかりつけ医、リハビリテーション担当者、急性期病院全てから、「頑張っていますね」とほめることができる。違う立場の医療職から賞賛されると、患者側もモチベーションもより上がるという良循環が期待できる。糖尿病や血圧手帳と併用することによって、患者の自己管理意識も高まる。
 記載する側の負担も軽い。実現可能性が高い案ではないかと思っている。