CCAT(Community Care Assistance Team)という思いつき

 第3回宮城県リハビリテーション支援会議が開催された。様々な情報交換をする中で浮かんだアイディアがあるので、メモをする。


 今回の大震災を受け、リハビリテーション支援関連10団体が活動を行っている。ただし、広範囲かつ甚大な被害への迅速な対応が迫られたが、実際に動き始めたのは4月になってからとやや立ち遅れた感は否めない。反省を含め、今後起こりうる大災害に備え、あらかじめ組織づくりを行っておく必要があるのではないかという話題になった。
 災害医療に関していうと、阪神・淡路大震災を受けて創設されたDMAT(Disaster Medical Assistance Team、災害派遣医療チーム)があり、今回の東日本大震災においても、全国からすみやかに集まっている。しかし、災害救急病院の現状を聞くと、搬送されてくるのは溺水で死亡した患者か低体温症患者がほとんどであった。トリアージタグでいうと、黒か緑かという状況であり、DMATの真価を発揮できたのは最初の数日だけだった。その後は、衛生面の改善、栄養管理、日常的な医療の提供、要介護者に対するケアの重要性が増した。甚大な被害が広範囲に広がる中で、手探り状態で医療チームの支援が続けられた。
 DMATと同様に、亜急性期から慢性期に活躍する医療・介護チームをあらかじめ準備しておいた方が良いのではないかと考えた。このチームを、DMATになぞらえて、CCAT(Community Care Assistance Team、地域ケア支援チーム)と名づけてみた。次の2つに分かれる。


# ニーズ発掘型CCAT


 業務のイメージとしては、家屋調査である。
 複数の職種からなるチームが、現場に介入し、ニーズがあるかどうか確認する。衛生面の改善、食料や医薬品の供給、福祉用具導入など環境調整だけで済む場合には、早期に終了とする。また、現地の医療機関や介護事業所の機能が残されている場合には、評価内容を引き継いで終わる。一方、被災地の抱える問題が複雑かつ長期支援が必要と判断した時には、次の長期支援型チームの導入を行う。


# 長期支援型CCAT

  • 派遣先: 巡回型CCATで必要とされた医療機関介護施設、避難所・福祉避難所など。
  • チーム構成員: 看護師、リハスタッフ、介護福祉士など。ニーズにあわせ、医師が間欠的に介入する。
  • 役割: 要支援者に対する直接的な支援を行う。ないし、医療機関介護施設の日常業務を代行し、現地のスタッフが直接的援助を行う余裕を生み出す。
  • 派遣期間: 最低1週間単位の支援を引き継ぎながら継続する。


 リハビリテーション支援関連10団体が、石巻(桃生トレーニングセンター)、気仙沼(ホテル観洋)、猪苗代(リステル猪苗代)で行っているものをヒントとしている。潜在的には他の地域にもニーズがあると推測しているが、残念ながら掘り起こしが進んでいない。なお、数日間の支援を連携なく行うことは現地のスタッフの疲弊につながり、逆効果となりかねないことに注意する。最低1週間単位という枠組みを設けたため、10団体の支援が長続きしていると私は判断している。


 ニーズ発掘型、長期支援型いずれのチームも、現地のことを熟知している現場のスタッフと、全国的な支援の窓口となるコーディネーターが協力して運営することが必要である。
 CCATのような組織をあらかじめ全国に作っておくことにより、日常的に大災害に備えようという心構えが育つ。また、受け入れ側の組織づくりもスムーズに行われる。各医療団体ごとに行っている縦割りの支援が統合され、効率的効果的に運用できるようになる。


 以上の案を帰宅中の車の中で思いついた。もう少し練ったうえで支援会議に提案することも考えたい。