支援の必要性を可視化する

 東日本大震災において、行政の壁の厚さを嘆く声をよく聞く。規定にしばられ、縦割り行政の中でたらい回しされ、支援のタイミングが失われていく。深部静脈血栓症予防、生活不活発病対策、栄養改善、口腔衛生、心のケア、震災関連疾患予防など個別の課題が重要であることは頭では理解していたとしても、具体的な行動を組織することができない。DMATが対応するような救急疾患の重要性は分かっていても、時間が経たないと影響が明らかにならない疾患への対応は遅れる。「直ちに影響がない」分野は後回しにされている。


 前回のエントリーで触れたCCAT(Community Care Assistance Team、地域ケア支援チーム)を作った方が良いと思いついた最大の理由は、必要な支援を可視化できるのではないかと考えたからである。セットメニューにして提示すれば、行政側も受け入れやすい。横並び意識があるため、DMATと同様に自治体同士で競って導入に努めることも期待できる。


 在宅医療やリハビリテーション医療の分野では、地域連携が緊密になってきている。大規模災害時の亜急性期から慢性期にかけて必要な支援というのは、よく考えると、地域ケアの取組みに類似している。日常医療において地域医療の機能分化と連携が推進されている中で、災害医療の分野は急性期医療だけしか組織されていない。地域ケアの充実と災害医療の発展は同じベクトル上にある。