「医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し」議論

 行政刷新会議規制・制度改革委員会(平成22年3月~平成24年12月) - 内閣府を見ると、2011年2月16日付けで、第9回ライフイノベーションWGの議事概要が掲載されていた。リハビリテーションに関係する議論を抜粋する。

○事務局 (中略)
 それから、項目9番の「医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し」、35 ページです。これにつきましては、この間、複数のリハビリの専門医の先生にも事務局でヒアリングを行って、検討シートの記載を少し前回から修正・調整しておりますけれども、改革案としての趣旨に変更はなくて、日数制限を撤廃すべきであるということでございます。そもそも療担規則(保険医療養担当規則)では、リハビリテーションは必要があると認められる場合に行うとなっております。つまりこの日数制限はなくても、必要のないリハビリテーションは保険対象外なわけです。ですので、二重のというか、リハビリテーションが必要ない場合があるので日数制限を設けるというロジック自体がそもそも間違っているのではないかという指摘でございます。
(9ページ)

○神野委員 まずリハビリのほうですけれども、医師らしからぬ発言をいたしますが、医師の判断だけで決めていいものかというのはちょっと国民目線からすると多少問題がある。ある程度きちんとした質、あるいは評価項目というか、指標というものを示した上で、この指標にのっとる方々については、日数制限なく受けられるというようなことをしないと、単なる医師の判断だけでやると、医師が「うん」と言ったら何でも通るのかという話になってしまうと、立場上、何か逆のような気がするけど、というそしりは免れないのかなというふうに思います。したがって、これはここでは難しいと思いますので、学会等でのきちんとした評価基準を示した上でのリハビリの日数制限の解除というものが必要なのかなというふうに思いました。
(15ページ)

○土屋主査 今の3つのことでありますけれども、リハビリについては、確かに神野先生の御心配はあるのですけれども、厚労省の論法からいくと、日数制限はなくてもできるという結論に論理上はなるわけですね。ですから、ここのところはもう一度投げかけたいという気がいたします。
(20〜21ページ)

○土屋主査 規制改革からちょっと外れるのですけど、これは日本の医者が信用されているかどうかの一番瀬戸際のことで、先ほどのリハビリの神野先生の発言もそうなんですね。これは日本の医者が信頼される医師の集団であれば、恐らく日数制限を医師に任せるというのは全く抵抗がないだろうと。これは判断が的確でないのではないかというのが言外にあるわけです。
(19ページ)


 拍子抜けするほど、まともな議論がされている。一律に日数のみでリハビリテーション打ち切るのではなく、適応を医師がしっかり判断し、リハビリテーションを行うかどうか決めるということが提示されている。リハビリテーション医療に関わる医師のプロフェッショナルとしての意識が試されている。