リハ医不足が厚労省調査で明らかに

 必要医師数実態調査 |厚生労働省が行われた。この調査によると、必要医師数と現員医師数の比でみた場合、リハビリテーション科医師が最も足りないという結果になった。


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 病院等における必要医師数実態調査の概況 |報道発表資料|厚生労働省では、調査結果のポイントとして、次のような記載がなされている。

○ 必要求人医師数は18,288人であり、現員医師数と必要求人医師数の合計数は、現員医師数の1.11倍であった。また、調査時点において求人していないが、医療機関が必要と考えている必要非求人医師数を含めた必要医師数は24,033人であり、現員医師数と必要医師数の合計数は、現員医師数の1.14倍であった。(以下の倍率は、すべて「現員医師数に対する倍率」である)。(P.3)
  ・必要求人医師数 18,288人〈現員医師数 167,063人〉(1.11倍)
  ・必要医師数   24,033人〈現員医師数 167,063人〉(1.14倍)


○ 必要求人医師数、必要医師数ともに都道府県の現員医師数に対する倍率には地域差が見られた。(P.4〜6)

  
○ 必要求人医師数、必要医師数ともに診療科の現員医師数に対する倍率には差が見られた。(P.8〜10)
  

○ 必要求人医師の求人理由・求人方法で回答数が多いものは、次のとおりであった。(P.10〜11)
・求人理由:「現員医師の負担軽減(入院又は外来患者数が多い)」27.8%、「退職医師の補充」17.5%、「現員医師の負担軽減(日直・宿直が多い)」16.2%
・求人方法:「大学(医局等)へ依頼」28.2%、「インターネットへ掲載」が24.1%、「民間業者へ依頼」19.0%


(注)本調査は、平成22年6月1日現在において全国の病院等が必要と考えている医師数の調査を行ったものであり、今後の医師確保対策のあり方については、本調査結果のほか、様々な制度のあり方、諸外国の状況等を踏まえ検討していく。


 病院等における必要医師数実態調査の概要(PDF:KB)の1ページに実態調査回収の状況があり、8〜10ページに診療科別の情報がある。

 調査対象医療機関は、病院8,683施設、分娩取扱い診療所1,579施設の計10,262施設であ り、調査票提出医療機関は、病院7,687施設、分娩取扱い診療所1,011施設の計8,698施設で あった。
 回収率は、病院88.5%、分娩取扱い診療所64.0%の合計で84.8%であった。


 かなり高率の回収率となっている。

(3)必要医師数(診療科別)
 必要求人医師数と現員医師数の合計数の現員医師数に対する倍率が高い診療科は、リハビリ科1.23倍、救急科1.21倍、呼吸器内科1.16倍であった。なお、分娩取扱い医師(再掲)は、 1.11倍であった。
 また、調査時点において求人していないが、医療機関が必要と考えている必要非求人医師数を含めた必要医師数と現員医師数の合計数の現員医師数に対する倍率が高い診療科は、リハビリ 科1.29倍、救急科1.28倍、産科1.24倍であった。なお、分娩取扱い医師(再掲)は、1.15倍 であった。


 リハビリテーション科に関しては、次のような数値となっている。

  • 現員医師数 A: 1,750
  • 必要求人医師数 B: 396
    • 倍率(A+B)/A 1.23
  • 必要医師数 C: 499
    • 倍率(A+C)/A 1.29


 母数となる現員医師数が少ないため、必要医師数における倍率が高くなっていることを差し置いても、必要求人医師数倍率1.2倍を超える診療科がリハビリテーション科と麻酔科しかない。抜きん出て高い数値となっている。医療崩壊が叫ばれている小児科、産婦人科、麻酔科、そして外科などより需要と供給のアンバランスが顕著である。また、新規にリハビリテーション科を目指す医師数が少ないこともあり、ギャップ解消の目処が立たない。絶滅危惧種と揶揄される診療科は繁栄を誇った時期があった。しかし、リハビリテーション科はずっと弱小勢力だったので、医師不足であることが全く認識されていなかった。
 リハビリテーション科医が不足していることを、厚労省が認知した。リハビリテーション科専門医が全国中から求められていることを宣伝する材料として、本調査を利用することにしたい。