障害児中学就学訴訟、町が即時抗告取り下げ

 奈良県下市町の障害児中学就学問題が新たな展開を迎えた。

 脳性まひで車いす生活を送る奈良県下市町の谷口明花さん(12)が町に対して町立下市中学への入学許可などを求めた訴訟で、入学を仮に認める奈良地裁の決定に町が行った大阪高裁への即時抗告を、16日、町が取り下げたことがわかった。町幹部が読売新聞の取材に明らかにした。取り下げの理由については、「すでに明花さんが就学していることを尊重した」としている。


 町幹部によると、15日に東奈良男町長が町議会の委員会で報告したうえで、16日に代理人を通じて、抗告を取り下げた。町側は「今後、明花さん側との話し合いに応じていきたい」としている。明花さんの母親の美保さん(45)は、「町から連絡をもらった。まだ仮の就学通知しかもらっておらず複雑な気持ちだが、一方でほっとした」と話した。


(2009年7月17日 読売新聞)

http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20090717kk01.htm

 同中も介助員2人配置し、町社会福祉協議会から車いす1台を借りた。夏休み中に1年生の教室を4階から2階に移すなど負担軽減を進める。


(2009年7月18日 読売新聞)

http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20090718kk05.htm


 困難にぶちあたった時、できないことを正当するためにエネルギーを使うより、知恵を出し合いながら解決方法を見つけ出すことの方がずっと面白い。当事者たちが悩みながら問題を解決していく中で、ノーマライゼーションという理念が実生活の中に根づいていく。
 今回の事態は、障害をもった人々の社会参加という重要な問題を考える機会となった。関係者の努力で、問題が円満な方法で解決に向かっていることに敬意を表したい。