SARSと闘った医師、押谷仁教授

 新型インフルエンザの拡大が懸念される。

国民の生命と健康を守るため
万全の対策を講じていきます。


「日本時間の4月27日23時、WHOにおいて専門家による緊急委員会が開催され、その結果を踏まえて公表されたWHO事務局のステートメントの中で、継続的に人から人への感染がみられる状態になったとして、フェーズ4宣言が正式になされました。
こうした事態を受け、厚生労働省としては、メキシコ、アメリカ、カナダにおいて、「感染症の予防及び感染症の患者に対する法律」に規定する新型インフルエンザ等感染症が発生したことを、ここに宣言します。
今後は。同法や検疫法に基づき、新型インフルエンザのまん延防止のため必要な措置を講じていくとともに、「新型インフルエンザ対策行動計画」等に則って、関係省庁と密接に連携しながら、国民の生命と健康を守るため、万全の対策を講じていくこととしております。」


厚生労働大臣 舛添要一

新型インフルエンザA(H1N1)pdm09対策関連情報 |厚生労働省


 新型インフルエンザに関し、押谷仁東北大教授がマスコミでコメントを求められている。押谷仁教授は、世界保健機関(WHO)西太平洋事務所の感染症監視・対応地域アドバイザーとして、2003年に大流行したSARSの封じ込めの最前線に立ったウィルス学の専門家である。

問い合わせ殺到


「2 月10日、中国・広東省をはじめ各地から原因不明の症状を持つ患者の報告がありました」。SARSについて日付から切り出す押谷さんの記憶は鮮明だ。広東省での現地調査を申請したが、中国政府の認可が遅れ、押谷さんら調査チームの北京入りが実現するまでには10日以上を要したという。


中国での調査中には、ベトナムから類似した感染症の報告も入り、押谷さんは北京からそのままハノイへ飛び、情報収集に努めた。症例報告が世界各地から上がり始める中、3月下旬にマニラに戻った押谷さんを待っていたのは、各国から殺到する問い合わせだった。


原因不明の感染症発生に各国の保健当局は一様にWHOの指示を仰ぐ。感染症担当者である押谷さんには、「eメール500件、ファクス200通」が押し寄せる日々が続いた。当時、SARS対策チームは最大20人で対応に当たったという。


4月に入り感染源をコロナウイルスと突き止め、地域間の医療実験施設のネットワーク化で情報の蓄積も進むなど成果が出始めた。さらに「感染力が思ったほど強くなかった」ことも幸いし、7月5日、台湾の感染地域指定を解除。SARS流行はひとまず収束した。


現在のところSARSは沈静化しているように見えるが押谷さんは、「今後も何が起こるか分からない」と警告する。自然界に存在するウイルスがひとたび人間にうつれば、再発は十分にあり得るとし、指揮官として警戒を緩めることはない。

http://nna.jp/free/interview/kono/kono33.html


 押谷仁教授は、WHOの判断について、次のように述べている。

 WHOの判断について、押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「今後どの程度の被害が出るか、ウイルスの病原性が分からない。そのためWHOは警戒レベルをフェーズ5まで引き上げられなかったのだろう。渡航制限については慎重だが、いずれ踏み切るだろう。メキシコでウイルスの詳細が確認できれば、日本をはじめ各国は、SARS(急性肺炎)の際にも出た海外渡航延期勧告を出さざるをえない」と推測する。


 押谷教授は「地域的な広がりは避けられず、欧州のスペインなどで人から人への感染が確認されればパンデミック(大流行)の状態になる。だが、感染は拡大しても季節性程度の被害にとどまるのか、我々が考えていたような大きな被害をもたらすものなのかが問題だ」と話す。


 また、日本をはじめ、WHOがフェーズを4に上げないと対策を取ることができない国がある。押谷教授は「加盟国からのプレッシャーはあっただろう」と政治的背景も推測する。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090428dde007040061000c.html


 先程見たNHKでも押谷仁教授が明快な解説をしていた。SARSとの闘いが押谷教授の発言に重みを与えている。