ホンダの歩行支援ロボット研究

CNET Japanアシモの思い 歩行支援ロボ ホンダが実証実験より。

アシモの思い 歩行支援ロボ ホンダが実証実験
FujiSankei Business i.
2008/07/01 11:08


 ホンダは30日、7月から自社開発の歩行支援ロボット=写真=を使った実証試験を開始すると発表した。ホンダのロボットといえば二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」が有名だが、今回の支援ロボにもアシモと同様、「人間が歩くこと」を研究した成果が応用された。


 「歩行アシスト」と名付けられたこのロボットは腰から太ももにかけて巻き付けるようにして装着。加齢や事故などで脚力が落ちた人が使うことを想定しており、歩こうと足を踏み出すと、ロボットが歩幅を大きくするように動き、楽に歩けるという。ホンダは1999年から開発に着手、昨年試作機を完成させていた。


 実験は霞ケ関南病院(埼玉県川越市)と約1年間かけて共同実施。同病院で行われるリハビリテーションの場で支援ロボを実際に使い、歩行訓練を受ける人や理学療法士、医師らがその有効性などを検証。ロボットとしての精度を上げていくという。


 関連ニュース、週刊ダイヤモンド自動車大手がしのぎを削るロボットスーツ開発より。

自動車大手がしのぎを削るロボットスーツ開発


週刊ダイヤモンド編集部
【第119回】 2008年05月16日



「キャア、なにこれ」。


 その装置を初めて装着して歩いた人びとは、かつて味わったことのない感触に驚きの反応を示す。


 その装置とは、ホンダが開発した「歩行アシスト」装置。二足歩行ロボット「ASIMOアシモ)」の基礎技術を応用し、高齢者など足腰の弱った人でもスタスタ歩けるように支援する“ロボットスーツ”だ。


 ホンダは、4月末に大阪で開催された総合福祉展「バリアフリー2008」にこの歩行アシストを参考出品し、来場者に試着、歩かせるという実演を初めて行なった。


 実際に装着して歩いてみれば、早足や坂道の場合はアシスト装置が適切にサポートしてくれ、スタスタと負担なく歩けて心地よい。


 ただ、まだ完成品とは言いがたい。急に速度を落としたり、ひざを曲げたまま止まるなど、イレギュラーな動作を行なうと、大腿部に装置による負荷を感じる。福井威夫社長も「(実用化には)自然な動きと安全性が担保される必要がある。より洗練された制御技術が課題」と見ている。


 日本では少子高齢化が進んでおり、約5人に1人が65歳以上の高齢者。これが20年後には約3人に1人にまで高齢化率が高まると予測されている。歩行アシストは実用性も高い。製品化されれば、かなりの需要が見込まれそうである。


 もっとも、このような歩行アシストがホンダの独壇場で進むかといえば、そうでもなさそうだ。


 じつは、トヨタ自動車も類似の歩行アシストをリハビリ用パワースーツとして開発中である。トヨタでは「将来、ロボット事業を中核事業に育てる」(渡辺捷昭社長)という方針の下、2010年前後には開発人員を現在の倍の200人体制まで増員、介護・医療分野を主要ターゲットにロボット開発を進めている。


 国内市場の低迷に悩む自動車メーカーにとって、福祉ロボット分野は有望市場。それだけに、ホンダとトヨタという国内“二強”の激突も避けられそうにない。


(『週刊ダイヤモンド』編集部 山本猛嗣)


 いろいろと調べてみると、マッスルスーツというものも開発されているらしい(小林研究室参照)。ロボット研究で蓄積された技術を利用したリハビリテーション機器が使用できる時代が来るかもしれない。ただし、医療費抑制が厚労省の至上命題となっている現状を考えると、診療報酬適応となるかどうかは疑問である。よほど入院日数が短縮するというエビデンスが蓄積しない限り、一般病院には高嶺の花になりそうである。