刑務所への退院は在宅復帰にカウントされるのか?
本日の昼食での雑談の中で、刑務所への退院は在宅復帰にカウントされるのか、という疑問が職員から出された。
回復期リハビリテーション病棟運営上、在宅復帰率6割以上という足枷は大きな負担になっている。数年前、退院したら刑務行きになるかもしれないという患者がいた。今後、受刑者が脳卒中や大腿骨頸部骨折になった場合、やはり、回復期リハビリテーション病棟に入院してリハビリテーションを行うことになるだろう。
そんなことを考えていたら、気になって仕方がなくなり、どうでも良いことながら思わず調べてしまった。
矯正医療の現状
行刑施設には、その規模や業務に応じて医務部又は医務課等の組織が設けられ、医師その他の医療関係専門職員が配置されて、施設における医療及び保健衛生関係業務に従事している。
行刑施設における医療体制は、社会の医療の高度化・専門化に対応して充実を図る必要があるため、全国に四つの専門的に医療を行う施設として、八王子医療刑務所、大阪医療刑務所、岡崎医療刑務所及び北九州医療刑務所が設置されているほか、札幌刑務所、宮城刑務所、府中刑務所、名古屋刑務所、広島刑務所及び福岡刑務所を医療重点施設に指定している。
※ <行刑施設における病院及び診療所>
札幌刑務所、八王子医療刑務所、東京拘置所、大阪医療刑務所及び北九州医療刑務所の5施設は、病院として指定を受けており、その他の施設は、診療所として指定を受けている。
(中略)
3 常勤医師の勤務状況
全国の行刑施設における常勤医師が1週間当たりの施設における勤務日数は,以下のとおりである。
1週間当たり5日勤務している者が 35人
4日勤務している者が 12人
3日勤務している者が 151人
2日勤務している者が 16人
1日勤務している者が 5人
※ 平成15年3月17日現在(常勤医師219人)
回復期リハビリテーション病棟入院料Iの施設基準でも述べたが、在宅復帰率等に含まれる「在宅」とは、「診療報酬算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」中の区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(2)ア及びイに掲げる施設等と同様である。「医師が常駐していない施設」のことを指し示している。
したがって、病院として指定を受けている5施設は当然だが、診療所とみなされる他の刑務所も全て「医師が常駐していない施設」とはみなされないだろう。ただし、週のうち1日だけしか勤務していない場合でも常勤扱いをしているのはいかがなものか、と疑問を述べたくなる。
* 結論: 回復期リハビリテーション病棟から刑務所に退院した場合には、「在宅等」には含まれない。